企画

□秋といえば、が違くない?
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「今日もいい天気ねー……」

「……だな」

マサラタウン付近の人気のない某所の芝の上。

ごろりと寝転ぶ二人組。

少し寒いなか、暖かな日に照らされている芝は気持ちいいだろうが、
寝転ぶのはいい年した男女だったので、目撃してしまった人はかなり驚いたことだろう。

美男美女が寝転んでいるなんてどんな現場だ。

だからこそ2人は人気のこのない場所を訪れたのだろうけれど。


「ね、グリーン!ゲームしない?」

「ゲームって、何をする気だ?」

いぶかしげに問うグリーンに、ブルーは顔を曇らせた。


「ひどい、私を何だと思ってるのよ……」

「冗談だ」

ひがめば返ってくる言葉に、笑ってしまう。

本気ではないことなど、浅くはない付き合いの2人には分かっているから。


「連想ゲーム。丁度いい天気だし、『秋』から連想しましょう?」

「天気関係無くないか?」

気にしないで、と軽く肩をすくめるブルーにグリーンも肩をすくめた。


「じゃあ私からね!秋といえばやっぱり、芸術の秋よね!」

「意外だな」

ルビーが言いそうだと、後輩を思い出しながら言うとブルーは照れたように笑っていた。


「なんてね、本当は“食欲の秋”かな」

花より団子ね、とブルーは続けるが、それは季節感無視しまくりだ。

本人は照れ隠しのつもりだろう、と考えてグリーンはあえて何も言わない。


「グリーンは?」

「“スポーツの秋”だろ」

あっさりと返したグリーンにブルーは目を丸くした。


「びっくり。グリーンなら“読書の秋”かと思った」

「俺だって運動したいんだ」

「グリーンが言うより、今のセリフはレッドが言う方がしっくりくるなー」

反論もまともに聞いてもらえなかったようだが、いつものことなので気にしないグリーン。

ため息が漏れたような気もしたが、気のせいだ。


「秋といえば、芋よね!」

「突然どうしたんだ」

ブルーはいつも唐突だから通常運行ということで問題なし、と判断してもいいのだろうか?

そういえば“食欲の秋”って言い直したしな。

2つのことを思いながら問うと、『お腹減っちゃった』と悪びれずにブルーは告げた。


「カボチャも美味しいわよね!秋ってサイコー、林檎に葡萄に栗に、無花果や蜜柑!」

「蜜柑は冬だろ」

「あら、知ってるわよ。ついでに突っ込みが無かったから知らないと
 勝手に判断して言わせてもらうと、今では葡萄の旬は夏場なのよ」

諭されてしまった。

何故だ。


「グリーンの家に行っても大丈夫?」

「姉さんが今、いると思うが」

自分の家には誘わないのかと思いながらも時計を確認して言うグリーン。

えー、とブルーは嫌そうに声をあげた。


「じゃあ、レッドの家に行きましょう!」

「…………そうだな」

レッドに心の中で謝るグリーンだった。
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