企画

□目の前のものが見えてない?
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「はっ?バッカじゃねーの?」

「何よ、ゴールドこそいつもいつも!」

「クリスこそ毎回毎回なあっ!!」

白熱するゴールドとクリスのやりとりにひっそりとため息をつくシルバー。


「さっきからどうしたんだ?」

「聞いてよシルバー!」

「聞いてくれよシル公!」

怒鳴りあっていたはずなのに息ぴったり。

再び『かぶらせないでよ!』『あん?おめえがかぶらせてきたんだろ』と
言い合いが始まりかけたが、シルバーに説明しようと口々に話し出す。


「ゴールドが私との約束、すっぽかしたのよ!1時間近く待ってたのに……」

「もっと早くポケギアに掛けてこないからだろ」

「なっ……!?」

平然と言ってのけたゴールドに、唖然とするクリス。


「……ゴールド、それはあんまりだろ」

「あん?」

仲裁に入ったのは、当然のようにシルバーだった。


「クリスはこの寒い中、お前のために1時間も待ってたんだぞ」

「そ……それは、俺も悪かったけどよう」

慌てて取り繕うかのように謝るゴールドだが、クリスは容赦無い。


「へー、なら初めから素直に、謝ればいいじゃない」

「っ…………」

冷たい言葉に、痛いところを突かれたのかゴールドも押し黙った。


「要するに、」

2人が黙ってしまい気持ちの悪い空間が完成してしまいそうな予感がしたので、
無理に口を開いて話を続けるシルバー。


「要するにゴールドがクリスとの待ち合わせに遅れたが、謝らなかった。
 そうだな?クリス」

「そうよ」

「クリスはこう言っているが、何か反論はあるか?」

すぐさま返ってきた言葉をゴールドに投げ掛けた。

悪いことをした、という自覚があるのならば相当堪えただろう。


「……そこは悪かった。俺って天の邪鬼だからよ、つい売り言葉に買い言葉で。
 そんなつもりなかったんだ、悪い」

「………」

クリスを一心に見つめ、言ったものの当の本人である彼女は
心ここに在らず、といった感じでどこか遠くを眺めているように見える。


「ゴールドも謝っているようだが、クリスから何か言ってやりたいことはあるか?」

さすが、いつもブルーの愚痴でケンカをなだめることには慣れているシルバーである。

クリスはシルバーの問いには答えずにうつむいた。
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