企画

□目の前のものが見えてない?
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「ゴールドっていつもそう。私にばっか期待させて、振り回されてばっかで。
 そんなのは嫌なの。嫌なのに……なんで、私はこんな人が好きなんだろう」

ほろりと偶然出てきてしまったかのような言葉に、ゴールドが赤くなる。


「!?」

「バカみたい、バカバカバカ。なんで自分が嫌だと思うことをする人が好きなのよ。
 することやること見て、優しいななんて思ったり、バカみたい」

ゴールドが真っ赤になってもクリスは続ける。

なんだこのノロケのような独白は。

どうしていいか分からずに、シルバーは視線をせわしなく動かして誤魔化した。


「舞妓さんたちにメロメロだったり、ラジオのクルミさん、だっけ?が
 好きだったり。私が好きなんて、冗談かもしれないのは分かってるのに」

「おまっ、それは冗談なわけねーって、何回も言っただろ!」

「でも……」

涙目になってまで訴えるクリスにぎょっとするシルバー。

あの真面目で冷静かつ少し抜けたところのあるクリスが……。

シルバーには少し新鮮だったのだ。


「悪ぃ悪ぃ。泣くなよな、クリス……」

すっ、と自然な動作で涙をぬぐう。

さっきまで照れて真っ赤だったはずのゴールドたったが、立場が逆転している。

クリスの頬が急に朱に染まり、ゴールドは至って普通に笑っている。

(……いや、違うか)

姉さんがグリーン先輩を見るような、
俺自身がマニューラやオーダイル達を見るような。

例えるならばそれは慈愛……、明確な好意。

お互いがお互いを好きだということはこういうことなのだろうか。

ブルーの語る『恋愛』がより分からなくなるシルバー。

そんな彼を横目に、今やすっかり仲直りをした2人は
代わる代わる赤くなりながらも楽しそうに会話を進める。


「もうっ、次は本当に許さないんだからね?」

「へいへい、分かってるよ、まったく」

「ゴールドったら。……ねえ今度、今日の仕切り直し、やろう?」

上目遣いに見つめてくるクリスに、心臓を鷲掴みにされたように錯覚するゴールド。

「っ!……ったりめーだろ」

いつの間にか仲直りした様子を見て、
シルバーは安堵からあきれ半分にため息をまたついた。

「ちなみに今日はどこに行くつもりだったんだ?」
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