企画

□人の話を聞いてない?
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「ラルドってどうしてあたしらのことを見て、
 『いちゃいちゃすんなー!』ち言うと?」

「サファイア……」

無自覚だったのか、と少し落ち込むルビー。

にしてはノリノリで返してくれてたけど……あ、ノリ?

思い付いた彼女の考えそうなことに、思わず唾を飲み込んだ。


「サファイアはどうしてだと思う?
 僕たちのやりとりは、ツッコミ所が多かったと思う?」

「む〜〜」

分からないのか唸るサファイアに、小さくルビーはため息をついた。


「ツッコミの才能があるんやろか?」

「それ間接的に僕らがボケをしていたことになるのを認めてるよね」

冷静なルビーにサファイアは『あう』と動物的な声をあげた。


「じゃあ何と?あたしらのボケをラルドがつっこんでた、……んじゃなか?」

上目遣いに見つめられ返答に詰まる。

そんな心臓に悪いもの、いつの間にどこで覚えたのだろう。


「やっぱり君は今までのやりとりは、“ボケ”だと思ってたんだね……」

「? ボケ以外の何だったと?」

鈍すぎる、と思わず呟いてしまいそうになったがこらえる。

なんてことだ、今まで一体何だったんだ。


「サファイア、君が言って僕が答えたこと……覚えてる?」

「あたしが言ってあんたが答えてないことなら、覚えてると」

こりゃあ完璧に言い訳したことでカウントされてないらしい。

例の話……告白の件である。


「あのさ、あのあと色々『覚えてない』とかってとぼけたけど」

「やっぱりとぼけてたと!?」

むっ、と膨れっ面して怒るサファイア。

そこはもう、その……面目無い。


「でも一応返事……したじゃないか」

「何も言ってなか!!」

む、確かに僕は何も言っていないかもしれない。

けど、そこはフィーリングでどうにかしてほしい。


「最後の、最終決戦の時!僕は君を置いていっただろ?」

「あれは……」

サファイアが黙った。


「あたしが……頼りなかったからやろ……」

「いや、違くて」

そんなわけないじゃないか。

僕が楽して、ある程度適当に旅をして来た間、君は過酷な中でジム戦をし、
敵対する組織と戦った。

頼りないわけがない。

バッジ零の僕よりも強いのは明白だろう?


「大切な人を傷つけたくなかったんだよ……分かるだろ?」

「大切って……」

顔を徐々に紅くしていくサファイア。
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