企画

□人の話を聞いてない?
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「だから置いていったんだ。まあ、君からしてみればいい迷惑だったろうけど」

「そんなことなか!」

あたしかて、と続けようとして言葉が続かないサファイア。


「あたしかて……あんたのこと、傷つけるような人がいたら嫌ったい。
 そんな所、一緒になんて行けるわけなか」

やけに神妙な面持ちで、ドキッとする。


「そういうこと、やったんね」

にこり、と輝くような笑顔を向ける。


「じゃあ……恥ずかしいけど、言い直すったい。今度はちゃんと言ってほしか」

「あ………うん」

今更ながらのやり直し。

彼女も何度かやり直しをしようとしていたのは気付いていた。

でもやっぱり恥ずかしくて、できていなかったけれど。


「あたし、あんたのことが―――」

「って何してんだよバカー!!」

「「ラルド!?」」

突然の乱入者に驚く2人。

慌てて近づいていた間合いを離す。


「いちゃつくなよ!お前らが誘ってきたんだろ?『カラオケ行こうぜ』なんて!」

「僕は『行こうぜ』なんて言ったつもりないし、待ち合わせはだいぶん前だった気がするが」

気のせいだよー!とわめくラルドだが、ルビーの言い分が正しいせいか慌てている。


「は、早く行くなら行かなきゃダメだろ!行こうぜ!」

ラルドってそんなにカラオケが好きだったのか、と驚いた。

と、隣のサファイアが暗い顔して黙りこくっているのに気づいた。


「サファイア?」

「ラルド……ひどかっ……」

密やかにさめざめと、泣いていた。


「ラルド!」

「えっ……ええっ、俺!?」

訳が分からないとでも言いだしそうな、泣き出しそうなラルド。

やり直しが失敗したからか?と読める展開にルビーは目線をずらした。


「ラルドっ、バトルするったい!!」

「はあ!?ヤだよ!?」

恥ずかしいからか詳しくは説明しないまま、サファイアは頬を濡らしたまま叫ぶ。


「ぐる〜〜!!」

唸りながらも『絶対勝つ!』と宣言するかのようにラルドを睨むサファイア。


「カラオケ行くんじゃないのか!?」

「そんなのどうでもよか!ラルド、覚悟するったい!」

仕方ないな、とラルドも折れてボールを手にした。

ラルド、何も仕方なくないから。
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