企画

□テンポアップは望めない?
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「秋と言えば〜、食欲の秋だよね〜!」

シンオウ地方、ダイヤの家。

『遊びに来てよ〜』とポケッチで呼び出されたパールとプラチナは
唐突なダイヤの話に驚いたようで、停止した。


「そうですね。私は“読書の秋”を実践しています」

「実践って……」

何を勘違いしたのかにこやかにプラチナは告げる。


「そんなお嬢様と何もしてなさそうなパールに“食欲の秋”をプレゼント!
 はい、パール、1人で全部食べないでね」

「分かってるって!!」

ダイヤが皿に盛って出したのはクッキーだった。


「いっぱい食べてね〜」

「いただきます」

「うおっ、すげー数だな……1人で作ったのか?」

パールがどこかズレた質問をするも、いつものことなので気にしない。


「べーやるーも手伝ってくれたんだよ〜」

「へー、やるなあ、るー」

何故るーだけにパールが感心したのかは謎だが、生憎ツッコミは
パール彼1人のみなので誰もつっこまなかった。


「このジャムのクッキー、美味しいです」

「そう?よかった〜」

ニコニコと笑いながら話をする2人を横目に、パールは喉に渇きを覚えた。


「悪いダイヤ、お茶もらってもいいか?」

「あ、紅茶いれたんだけど、ちょっと待ってて……取ってくるから」

パタパタと台所へ駆けていくダイヤ。

もぐもぐとクッキーを咀嚼するプラチナと目があった。


「お嬢さんも喉乾かないか?ダイヤも紅茶入れたなら、
 もっと早くに持ってくればいいのによ……」

「紅茶はカップを温めてから入れたりと、美味しく味わうためにはそれなりに労力が
 必要になるものです。美味しいものをいただけるのに、」

パールがそう思っていてはダイヤモンドも悲しいと思いますよ?

諭されるように言われ、気まずくなる。

なんだってんだよ、ダイヤが遅いのは今に始まったことじゃないけど。

何だかイラついて、クッキーをガリッ、と一気に砕いた。


「お待たせ〜、遅くてごめんね〜」

「大丈夫です、ありがとうございます」

ミルクティー入れたんだ、と言って控えめに出されるカップ。

そこには温かそうなミルクティーが、見事な渦を巻いて存在していた。

ごくり、と思わず生唾を飲む。
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