企画

□テンポアップは望めない?
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「ダイヤは食べないのか?」

「え?オイラも食べてるよ〜、だからパールもお嬢様も食べてね〜」

お菓子を食べながらの近況報告。

相変わらずダイヤとパールは以前までの代わり映えのない生活を送っているわけだが。

その“普通”の話をプラチナは目を輝かせて聞く。

反対に、プラチナの博士との研究の様子や家での様子などをダイヤとパールは聞きたがる。

お互いが終始笑顔のままでいつも会合は終るのだが。

その日はどこか不穏な気配がたちこめていた。


「オイラさ、2人にお願いがあって今日はうちに来てもらったんだ」

「お願い?」

改まって言われると、何事かと身構える。


「どうかしたのですか?」

「あ〜、そんなに大したことじゃないんだけどね」

前置きをしてダイヤは持っていたカップを机に置き直して2人を見た。


「オイラってトロいじゃんか」

「え……あ、ま、まあ、な……」

先ほど思ってしまっただけにパールの返事はぎこちない。


「ダイヤモンドのペースが特別遅いとは、私は思いません」

毅然とした態度で凛ッ、といい放つプラチナ。

自分の意見をきちんと言えるあたり、さすがお嬢様といったところか。


「お嬢様、ありがとね〜でも、オイラはオイラが“遅い”って思うんだ」

うつむきがちに、でもへらへら笑いながら言うダイヤモンド。

(心が痛んだのは俺だけだろうな)

以前、3人で旅をしていたころのこと。

互いに本音を言いあって、ダイヤがずっと思っていたであろうことを言われて。

それを気にして、なのか……?

パールのしょぼくれた様子にダイヤモンドは気付き慌てた。


「パールのせいじゃないから!だから、ね、落ち込まないで?」

「ダイヤ……!」

トロくったって何だって、お前はお前だろ?

お前はそのままで、充分憧れる存在なのに。


「だからね、オイラがハイテンポで行動できるように、手伝ってほしいんだ」

「……分かりました。私にできることなら、何でもします」

「もちろん俺もな!」

にこり、といつも通りの柔和な笑みを浮かべて安心したように、ダイヤモンドは笑う。


「ありがとう、2人とも」












テンポアップは望めない?


(オイラにできるかな〜)

(やる前から諦めるなよ!?)

(頑張って下さい!私も協力します!)












手を取り合って、助け合い!
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