企画

□ま(ルサ)
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「にしても、ルビーは急に言い出すからびっくりするったい」

彼本人にバレないように小声で愚痴をこぼした。

観覧車に乗りたい、だなんて。

なんだかデートみたいで照れる……恋人同士のはず今でもそんな風に思う。


「サファイア、もっとゆっくりでもよかったのに……」

観覧車だから、向かい合う。

対面するルビーがそんなに僕と観覧車に乗りたかった?と茶化す。

腕を強く掴んで引っ張ったのはわざとで、照れ隠しなんだよ?なんて、
言えもしない言葉を心の中でだけ吐き出した。


「ルビーはどげんして観覧車なんち乗りたくなったとッ?」

八つ当たりがてら口調をやや強めて言うと、
自分が思っていたよりも高い声が出て驚く。

これじゃあまるで、甘えてるみたいじゃないか。

とたん、ボッと瞬時に頬に熱が集まる。

(そっ!?そんなこと無かっ……)

否定しつつも自分の思いに気付いてからは、気付かないフリなんてできなくて。

(わたし、ウソつきったい……)

しゅん、と一人うなだれた。


「さっきから百面相してるけど、悩み事でもあるの?」

「何でも無か!」

勝手にイライラしているのは私なのに、何でかルビーに八つ当たり。

今すぐ謝りたい気持ちとは裏腹に、私は強気な態度でい続ける。


「Really?……僕は悩み、あるよ」

下げられた声のトーンに肩がビクつく。

彼はこんな私の不自然な行動に気付いたろうか。


「君が何を考えているのか……時々分からなくなってしまうからね」

ハハ、と自虐的に笑うルビー。

そんなことはないはずだ、私はいつだってどこだって楽観的な単純思考。


「ルビーのが、考えてることなんち……分からんと……」

ルビーのことを、もっともっと知りたいのに。

どうして私は、……理解できない?

情けなくて不甲斐なくて悲しくて、行き場のなくなった視線は窓の下に映る他無かった。



「………あ、」


視界に映る景色は、まるできらきら光るおもちゃを、
たくさん落としたかのような。

嘘みたいな輝きの数々。


「夜景……?」

ルビーも気付いたのか眼下を見下ろし、私をふ、と何気無いように見た。


「サファイア、メリークリスマス」

「うん」

微笑む彼に、まだイブったい、とついでに返すと笑って
それでもいいじゃないか、と言われた。

うん、まあ。

それでも全然構わないのは確かなのだけれどね。


「ルビー、今度は」

自分から話し掛けると、思いの外声が震えた。


「今度は私が、何かするち」

来年も一緒にいてほしいんだ。

そんな言葉の裏の気持ちに、彼は気付いたろうか?



てっぺんからメリークリスマス

(たくさんの輝きに負けない、君の瞳の煌めきをまた見たくて)












ルビーがよく分かんない……サファイアもよく分かんない。
駄文で本当にすみません。
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