企画
□す(ダイ嬢)
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パールに伝えると、善は急げだ、なんてお嬢様の豪邸に連れていかれた。
もう、いつものことだけど、パールって本当にせっかちだなあ。
バカみたいにデカイ門の隣にある小さなインターホンを押すと、すぐさま声がする。
『パール様にダイヤモンド様、いらっしゃいませ。どうぞお入り下さい』
「はい」
もう慣れたもので、ずかずかと進んでいくパールを見失わないように、
オイラは急いでパールを追った。
「お嬢様は外出しておりますがためにお帰りは遅くなる予定と
なっておりますが、どうぞおくつろぎくださいませ」
途中メイドさんに会い、屋敷の一角に入れられるとお茶を出されてそう告げられた。
「あ、お嬢さんいないのか……どうする?ダイヤ」
「どうするって言ったって……」
パールが、止めても無視してずんずん進むからこうなったのに。
お嬢様はクリスマスパーティーに出席することは聞いている。
何でも、色々な地方の方も来て盛大に祝う、会なんだとか。
「オイラもう帰るよ、ね、パールも帰ろう?」
「はあ?ふざけてるのかよ。お嬢さんにプレゼント!渡すまで帰れると思うな!」
色々可笑しいけどパール本人が大真面目にやるから、笑えない。
オイラ、主旨が分からなくなってきたよ。
「あ、そうだここで―――」
ニヤリ、と意地悪く笑うパールを見て、無性にお嬢様の笑顔が恋しくなった。
***
「ダイヤモンドとパールが、ですか?」
パーティーも終わり、星が瞬き始めた頃。
黒くて長い高級車に乗ったプラチナは運転手の言葉を尋ね返した。
「パール様は先ほどお帰りになられたとの報告がありました」
「……では、ダイヤモンドがいるのですね」
小声で聞こえないように呟くと、何故だか口角が上がったように感じられた。
「もう少し、いそいでいただいても構いませんか?」
「仰せのままに」
ぐい、と運転手がアクセルを踏み込むと、格段にスピードが上がる。
発した声が前よりも明るく楽しげなものに
変わったことに気付いたのは、運転手だけだった。
「そういえば今日はクリスマスイブ、でしたね」
ぶつぶつと、静かな車内でも聞き取れないくらいの声量で言うプラチナ。
「期待してしまっても、いいのでしょうか」
あなたからのプレゼントを。