企画

□!(ジョウト組)
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※現代風パロ
※ブルー最強


ガンガン五月蝿いというか、ウザい、ムカつくくらいの大音量。

頭を抱えたシルバーがそこにはいた。

(何でこんなことに……)

力なく前を見ると、ノリノリで流行りの歌を歌うゴールド。

何だかんだ楽しんでいるようで、リズムに合わせてタンバリンを叩くクリスタル。

何故かカラオケのパーティールームで、“シルバーの誕生会”という名目の
ゴールドの独唱が始まったのは30分ほど前だった。

当初はシルバーにも歌わせようと、それこそぶん殴りたくなるくらいしつこく
何か歌えと言ってきたゴールドだったのだが。

いつの間にやら独唱。

クリスも呆れていたはずなのに、いつの間にやらタンバリン叩いてた。

どうなってるんだこいつらの頭は。


「……はあ」

ため息を、どうせ聞いていないのだから堂々とこぼした。

本来なら家でゆっくりすごす予定だったのだが。

だが誕生日に、クリスマスイブに、デートをするよりも誕生会をしようと
押し掛けてくるなんて思いもしなかったから、嬉しかったのに。

熱唱するゴールドに、楽しそうに笑いながらタンバリンの音を送るクリス。

あれ、この邪魔者感は何だろう。

また気分が落ち込んで、ため息が吐き出される。

ゴールド、意外とオンチだな……いや意外でも何でもないか。

とりあえずドリンクを飲み干すと、ゴールドが歌い終えた間に近づいてくるクリス。


「ごめんね、シルバー。騒がしくって」

「別に……」

常識が戻ってきてくれたことに内心歓喜だ。

そんな皮肉、直接は言わないけれど。


「おー、シルバーも歌おうぜ〜!?」

マイク越しに話しかけてくるゴールドが不良にしか見えないのは、
俺の目がおかしいからなのだろうか。

何だかどうにでもなるような気がして、急に面倒になってきた。


「おしっ、これくらいならシルバーも知ってるだろ!?」

機械を巧みに操り曲をながし始める。

確かに聞いたことはある、よく流れていたCMソングだ。

というかマイク越しに実名を連呼しないでくれ、
カラオケって結構音が漏れているから廊下に響いているだろう。

……何となく嫌だ。


「歌おうぜ♪」

「ほらっ、はい!」

悪ノリしているのか、酒でも入っているかのような高いテンションの2人。

クリスがいるのだから酒はあり得ないだろうけれど。

はい、とマイクを手渡されても困る。

俺、カラオケって初めてなんだが。


「……あいうぉんちゅー?」

「あいうぉんちゅー!」

合いの手のはずのゴールドの声がでかくて頭がクラクラする。

けれど何度も聞いたことがあるからか、歌うことができた。


「…………。」

「シルバー……?」

虚しく流れるBGMと、色付いていく歌詞。

いや、だって俺、サビしか知らないし。

ポップコーンとか、そんな部分聞いたこと無いし。


「あーも、しょうがねーなあ!」

ボタンひとつで強制終了させられた曲に、何となく申し訳なくなった。


「どんな曲なら歌えんだよ」

「歌ったことない」

「マジで!?」

事実を言っただけなのにとても驚かれた。

ゴールドはうーん、と唸りながら反論(?)してくる。


「そういやシル公、ブルー先輩とカラオケ行くって、
 週1のペースで言ってるじゃないか」

「週1は多すぎるだろ、2週間に4回、行くか行かないかだ」

「え、それ増えてないか!?」

何なんだ、つっかかってきて五月蝿い奴め。

曲を入れていないからか、画面ではCMのようなものが流れ出していた。

隣の部屋の人の、どことなくズレた音程の曲が場に流れる。

……カラオケってこういうものだよな。


「カラオケには行くが、姉さんがずっと歌っている」

「ブルー先輩すげえ喉してるな……」

よく分からない所に感心するゴールド。

まあ確かに、4、5時間ぶっ通しで笑顔のまま歌い続ける姉さんはすごいと思う。

毎回5、6曲は新しい歌を歌ってるし。


「ならシルバーの方が歌は知ってるはずだろ!歌ってみろよ」

「嫌だ」

何でそんなに嫌がるんだバカシルバー!なんてマイク越しに叫ぶゴールド。

だからマイク越しに叫ぶな。


「……じゃあシルバー、ブルー先輩の十八番なら曲を知ってるわよね」

「ん……そりゃ、まあ」

妥協案のように言ってくるクリス。

歌を知ってる知らないの問題じゃなく、普通に歌いたくないんだが。

カラオケ=ドリンク飲み放題(+姉さんのワンマンライブ)だから。


「だな!オンチでも笑わないからよっ、歌えって!」

なおもマイク越しに言ってくるゴールド。

うざいから仕方なく歌ってやることにした。

流れ出すメロディーに合わせて姉さんの歌う様子を思い出しながら、歌い出す。


「……おしえられた、ものだけじゃ」

「すげえ最近の曲じゃんか!?」

「ブルー先輩の十八番ってコロコロ変わるのかしら……」

歌う最中も騒がしい2人。

全然歌を聞いてないな、まあその方がいいんだが。


「――……。」

最後まで歌いきれた。

字余り気味みたいなこの曲は随分と歌い辛かった。


「なんつーか、なあ」

ゴールドがやっぱりマイク越しで呟く。
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