企画

□カントー組
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「そば、できたぞー!」

そのまま回想に思いを馳せていると、レッドさんがお盆に4つそばを乗せてやって来た。

本当に年越しそば作ったんだ、作れるなんてレッドさんってやっぱりスゴい。


「よっ、イエローも食べようぜ?」

「はい!」

こたつに入り込みながら声をかけてくれるレッドさんの計らいが嬉しくて、
自然と声が大きくなってしまった。


「「「いただきまーす!」」」

「いただきます」

グリーンさんだけは行儀よく、丁寧に言って。

一斉に年越しそばをすすった。

ずずっ!と一番大きな音をたてて食べているのは、レッドさんだ。

何となくイメージ通り。

(グリーンさんは一体どんな風に食べているのやら、音を一切たてずに食べている。やっぱりグリーンさんってスゴい)


「つーかさ、俺んちでカウントダウンパーティーとかさ、せめて前日に教えてくれよ。
 グリーンがいるんだしトキワジムでやればよくないか?」

自分の家の自分のこたつが占領されているから、なのかな。

そばをすする間に言葉を続けるレッドさん。


「レッド……あんた、ジムを何だと思ってるのよ……」

そばを食べる手を止めて、大袈裟にびっくりしてみせるブルーさん。

確かにトキワジムでカウントダウンパーティーなんて、ちょっと怒られそうだ。

主にグリーンさんに。


「だな、ジムはやっぱダメかー……だとしてもさ、カウントダウンパーティーって何するんだ?」

「え?カウントダウンするんでしょう?」

「そりゃあそうなんだろうけど……」

ああそう言われてみれば、とレッドさんが言ってから僕も考える。

カウントダウンパーティーって、何をするものなんだろう?


「……ギアでゴールドにでも聞いてみたらどうだ?」

「ゴールド?あー、確かにゴールドって何となく、パーティー事情に詳しそうだよなあ」

祭りとか好きそうだし、と何故か付け足してうなずくレッドさん。

グリーンさんの提案がしょうもないものに思えてくる。


「あ、でも確かゴールドって、今ごろクリスとシルバーと一緒に、
 エンジュにいるんじゃなかったっけ?」

ポツリ、とブルーさんが思い出したように言う。

エンジュって、エンジュシティ?

何でこんな年末にわざわざ……。


「だったら悪いよなあ、止めとくか。もうカウントダウンの準備でもするか?」

「って、もう58分じゃないの!?グリーン、TV見てたなら教えてよ!」

そばを片付け始めるレッドさんに、僕も急いでそばを食べて椀を渡す。

ブルーさんは時報を聞いていた。


「時報なんて聞いてどうするんだ?」

「正確にカウントダウンしたいじゃない?だから正確な時間を聞いたのよ」

ポケギアに時間を入れ、よしっ、と満足気に微笑むブルーさん。

グリーンさんもいつもは明後日の方向を向いているが、今はちゃんとこちらを見ていた。


「じゃあカウントダウン、10秒前からスタート!」

「10、」

「9、」

「8、」

「7、」

……カウントをハイテンションで、行う中。

来年はどんな年になるだろう、とすでに予測をし始めている自分に気づく。

来年こそは、僕だって。

レッドさんに……思いを、


「2、」

「1! happy new year!!」

ブルーさんの一際明るい声が、部屋に響いた。
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