企画
□ホウエン組
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あたしは図鑑所有者の先輩の元を巡ることにした。
夢なので展開ははやく、まず初めはレッド先輩。
「レッド先輩、明けましておめでとうったい!!」
「おー、あけおめー」
レッドさんは何でかニコニコしている。
あたしが勝手に“いつもレッド先輩はニコニコしてる”というイメージを抱いてるからだろうけど。
「先輩、お年玉ほしいったい!」
実際、会って数秒でいきなり催促するのは我ながら有り得ないけど、夢だから仕方ない。
「そうだなー……ほいっ」
▽レッド先輩は500円くれた!
「ありがとうったいー」
あたしは次にブルー先輩の元を訪ねた。
「ブルー先輩、明けましておめでとうございますったい!お年玉ほしか!!」
「ハイハイ、分かってるわよ、どうぞ」
桜色のお上品な紙袋をくれて、先輩は笑った。
先輩は明るい青色の着物を着ていて、とっても似合っていて、姉御と呼びそうになってしまった。
「ありがとうございました!」
続けてイエロー先輩の所に行ったけれど、先輩は切り株にもたれて寝ていた。
イエロー先輩は本当によく眠っているなあ、と思いつつも、仕方がないからその場を後にした。
カントー最後の図鑑所有者の先輩、グリーンさんに次は会った。
「グリーン先輩、あけおめったい!!お年玉ほしか!」
「ああ……明けましておめでとう」
何を思っているのか分からないけど、白色の封筒を渡された。
「すまない、今は紙袋がそれしかなくて」
「何でもよか、ありがとったい!」
礼もそこそこに、次はジョウトの先輩の元へ。
「明けましておめでとうち言いに来たと!ゴールド先輩、お年玉ほしか!」
「げ、元気いいな野性児ギャル……しゃーねーな、やるよ」
ゴールド先輩はおもむろに財布を取りだし、150円くれた。
「この間新しいゲーム買っちまったばっかでよー、あんま無いやごめん」
「……アリガトウゴザイマシタ」
がっくし、と夢の中のあたしは分かりやすく肩を落としてクリスタル先輩の元へ向かった。
「クリスタル先輩ー、明けましておめでとうございます!ち言いにきたけん、お年玉くれん?」
「お年玉?あ、ちょっと待ってて」
ゴソゴソ、と数秒間バックの中を探り、ファイルを取り出すクリスタル先輩。
そのファイルの中から小さい薄い水色の封筒を差し出してくれる。
封筒には「サファイア」とあたしの名前が書いてあった。
「きちんと用意してあると……!ありがたか!!」
いいえ、と控えめにクリスタル先輩は笑って謙遜した。
最後の図鑑所有者の先輩、シルバーさんの元に向かうと、何故かゴールド先輩に再び遭遇した。
「シルバー先輩ってどこにいるか分かると?」
「んー、ジョウトかカントーの中」
「そりゃ新年早々から違う地方にはなかなか行かんと!」
「フレンドリーショップとかにいるんじゃね?」
と、そんな軽いノリでフレンドリーショップに入る。
そこにはシルバー先輩の姿があった。
「シルバーが薄焼きせんべい買ってる……!?」
何故か薄焼きせんべいに衝撃を受けているゴールド先輩は放っておいて、
話をすすめる。
「明けましておめでとうございます!、ち言いにきたけん、お年玉が欲しかっ!」
「………」
ポケットを急いで無言のまま、探り出すシルバー先輩。
これはレッド&ゴールド先輩と同じverか……!?
と思うもののスルー。
「すまん、これでいいか?」
小さな可愛らしいポケモンの描かれたカラフルなお年玉袋を手渡された。
準備してたんだ……!何かちょっと嬉しい。
「ありがとうございました!」
あたしはホウエンに帰った。
「ルビー、あけおめったいー!」
「明けましておめでとう、サファイア」
ルビーはいつもと同じ格好で、ニコニコしてた。
「お年玉こんなにもらったち!あたしは幸せ者ったい」
へへん、と自慢するために堂々と数々の頂いた封筒を見せつけると、ルビーは何故か顔を背けた。
「ん?どうかしたと?」
「サファイア、あんまり遠くに行かないでよ」
ルビーの声が悲しげで、驚いて顔を見ると、やっぱり悲しそうで。
「あたしもルビーとずっといたか!!」
ルビーは少し笑ってくれて、その夢は終わってしまった。