企画
□デザート・コンフォテーション
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北国であるシンオウ地方の冬は、長い。
それゆえか、とある日のこと。
「もしもし〜どうかしたの?お嬢様」
『おはようございます。唐突にすみません』
ポケッチに表示されたお嬢様からのコールに急いで出ると、まずは丁寧な挨拶。
「おはよう〜別にオイラは特に何もしてなかったし、大丈夫だよ〜」
『そうなんですか?』
何もしてない、っていうのにお嬢様は驚いたみたいだった。
確かにお嬢様は、いつも何かと忙しそうだもんね。
『それでしたら……その、私の用事に付き合ってもらっても良いでしょうか』
「ん〜?いいに決まってるよ〜」
オイラとパールは、お嬢様の一応ボディーガードだったんだから。
絶対にお嬢様を守るんだ。
『そうですか!ありがとうございます。では早速……』
今日の午後1時から、私の家で。
お待ちしていますね、と言葉を添えられれば少し以上に嬉しかった。
***
「……で、だ」
「うん。どうかした〜?」
「どうもこうもねえよ!普通は俺を呼ばないだろ!?どう見たって俺、邪魔者だろ!」
「?」
寒くないのかな、と思うけど、やっぱり半袖のパールは
オイラに地団駄ふみながら怒鳴る。
どうして怒鳴るんだろう?全然分からない。
「そりゃな、俺が何の連絡も無しにダイヤの家に行ったのがいけないだろうが」
「別に連絡しなくとも大丈夫だよ〜」
いつもしてないしね。
ほら、パールって、せっかちだから。
「でもだからって、お嬢さんと2人きりで会う約束してるんだろ?」
「2人っきりじゃオイラの間が持たないからパールも来てよ〜」
「……え、俺そんな理由含めて誘われてたのか」
ちょっとの間パールはショックを受けていたみたいだった。
確かに悪いこと言ったな……でも嘘を言うよりは本当のことを言いたかったんだ。
嘘はよくないよね?
「さ、速く行こうよパール!急がないと約束の時間になっちゃうよ〜」
「そうだな……急ぐか!」
やっぱり5分前には、着いていたいもんね。
***
「こんにちは〜お嬢様」
「来ていただいてありがとうございます」
ぺこっ、と頭を下げるお嬢様。
顔を上げた時に偶然目があって、ニコっと笑われオイラは目茶苦茶びっくりした。
可愛い、なんて。
自然には言い出せなかった。
言ってしまえば、想いがバレてしまうようだから。
「今日は何するんだ?」
「今日来ていただいたのは他でもありません」
パールの軽い言葉に慎重にうなづくお嬢様。
一体何をする気なんだろう……緊迫した空気が辺りを包む。
「ダイヤモンド」
「う、うん」
真っ直ぐに射るように、意思が届きそうなほどお嬢様にジッと
見つめられて、オイラの視線は行き場を無くす。
「私の作る料理の、手伝いをしてくださいませんか?」