企画

□もう少し考えさせて
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「……どうだった?」

「切られちまった。俺が最後にあんな急に言い出したからだな」

俺のせいだ、悪い、なんて。

ゴールドは呟くようにわびて、ソファーにどかっと座り込んだ。


「はー……やっぱり俺にはこういうの向いてねえよ」

「そうね、でも、ゴールドの方がシルバーとは打ち解けているじゃない」

「そぉーかー??」

疑り深そうに眉間にしわを寄せるゴールド。

面白い顔だったけれど、こんな状況じゃ笑えなかった。





『シルバーが病気って本当ですか!?』

『ええ……隠してたから私もさっきまで気づかなかったけど、
 結構前からそうだったみたいなのよね』

ブルー先輩からギアにコールがきたときは、また何かするのかしら、なんて楽観的だった。

だけど。

シルバーが病気だった?

全然、知らなかった……あまり会わないのは前からだし、でも、会わないスパンが長すぎた。


『……すみま、せん。私も、多分ゴールドも気付きませんでした』

『いいのよ、私も気付かなかったし』

ただ、と刹那言葉を区切るブルー先輩。


『昔からそうだったけど……最近は特に隠し事が多いわ』

何だか避けられているみたいで。

シルバーがどこかに消えてしまうようで少し恐いわ。

気丈に笑いながら言うブルー先輩も、どこかに消えそうな儚さを含めた声色で呟く。

その呟きは私も以前から思っていたことだから。

姉さん、なんて呼んで、慕っているはずのブルー先輩にまで。

彼は、シルバーは、そう思わせるような。

この世のものではないかのような、そう、浮世離れしてる人だから。

感情もあまり顔に出ず、助けを絶対に求めない。

……仲間なのに。


『教えてくださってありがとうございました。お見舞い……行っても、大丈夫ですか?』

『ありがとう。行ってくれるとシルバーもきっと喜ぶわ』

ブルー先輩はそう言ってくれたけど、私は
シルバーが怪訝そうに眉をひそめる場面しか思い描けなかった。






それからだと、思う。

前よりも私たちの関係が、薄れてきたのは。
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