企画

□勉強会に下心なんてありません
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※学パロ


「は?」

眉間に思いきりシワを寄せ、不機嫌なのを隠そうともせずに再度尋ねるグリーン。

対照的にレッドは至極にこやかに繰り返した。


「だからさ、俺とイエローに勉強教えてくれないか?」

「…………お前は俺を何だと思っているんだ」

とっさのことに頭が一瞬にして真っ白になった。

とりあえず皮肉を口にしても、やはりさすが、レッドは悪びれない。


「え?グリーンのことはグリーンだと思ってるけど、実はロボットだったのか?」

「なぜそうなるんだ。……仮に、仕方なく、仕方なくお前に勉強教えるのは仕方ないとして、だ」

「あ、仕方なくでもオッケーなんだ」

「………」

本当にこいつは何がしたいのだろうか。

考えが読めない。


「とにかくだな、俺がイエローに教える義理は無いだろ。
 大体お前に教えてもらえた方がイエローだって喜ぶんじゃないか?」

「何言ってんだよ、俺が自分の勉強もそんなできないのに他人に教えられるとでも?」

自虐発言をしている。

反論できないところが悲しい。

友人として元気づけてやりたいのは山々だが、いかんせん事実なので
グリーンも黙ることしかできない。


「そろそろテスト週間だろ、イエローが分からないところを教えてほしい、って
 俺を頼ってきてくれてさあ!」

「それで俺に頼るのか」

「おう!」

素晴らしい笑顔だった。

自分ができないことを何故請け負うんだ。


「つまり、最初から俺をあてにしていたのか……」

「頼むよグリーン、お願いだから勉強教えてくーれーよー」

「真面目に頼む気は無いんだな」

はあ、と意図せずともため息がもれてしまう。

断りきることだって不可能ではないのだけれど。

……俺はことごとくこいつに甘いな。


「やっぱりどこか劣っていると、感じているからか」

「は?何が?」

「いや、独り言だ。気にしないでくれ」

勉強ができたって、部活ができたって。

回りの人からの期待は、すべてレッドにかかるのだから。


「俺がお前らの勉強、みてやるよ」

「本当か!?ありがとなー、グリーン!」

劣っているのが“人望”だと思いつつも、自覚は無いだろうレッドの笑顔を見ると、
羨ましがらずにはいられなかった。
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