企画

□勉強会に下心なんてありません
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3日後、日曜日。

俺の家に集合としていたら、何故か当然のようにブルーまで来た。


「何でお前まで」

「えーダメなのー?グリーンのくせに差別してくるなんてひどいー」

「そのノリどうした」

しかも“俺のくせに”って何だ。

周囲の人間に俺はどう見られ、思われているんだか。


「お邪魔します……えと、今日はお願いします」

「こっちだ」

とりあえず全員そろったことだし、と俺は自室へと誘導する。


「グリーンが俺に話を振って来なかったことに悪意を感じる」

「いいじゃないの、レッドは自業自得だし。私なんて適当にあしらわれたわよ」

「いつもその場のノリで生きてるせいだろ」

「どういう意味よそれ」

レッドとブルーの声は次第に大きくなっていく。


「……ケンカするなら帰らせるぞ」

「「さーせんしたぁっ!!」」

イエローが困ったように、笑っていた。



***



「で、どこが分からないんだ?」

「数学のこの問題が……よく分かんないんですけど」

「あたし現社が理解不能ー!」

「甘いなブルー!俺は全部分からない!」

「………とりあえず黙れ」

真面目に勉強する雰囲気をかもしだしていたイエローにだけ聞いたつもりなのに
どんな悪ノリかは知らないが、言う2人。

ついさっき叱ったばかりなのに、そんなにも帰されたいのか。


「自力で何も見ずに解いたりしてみたのか?」

「はい、このノートのここなんですけど……」

パラリとめくってキレイに整理された、ゴマのようなサイズの数字が並ぶ部分を
ひかえめに指すイエロー。


「ここが原因だ。分かるか?ここは……教科書でもやったはずだ、教科書あるか?」

「はい!ちょっと待って下さい!」

カバンを探るイエロー。

時間がかかりそうだと判断して俺も自分の教材を開いた。


「無視だ、完璧に完全に視界にすら入れてくれてないぞ」

「相当怒ってる……っていうかキレてるみたいね。どうしようかしら」

「んー、声かけてみるとかどうだ?」

「えっ勇気ある!噛みつかれるんじゃないかしら」

「勉強しろよ」

噛みつくとか言うな。

俺は犬扱いか。


「勉強ねえ……仕方ないわね、物理やろうかしら」

「それ得意分野だろ」

「あらグリーン、私の得意分野知っててくれたの?意外だわw」

「“w”とか付けるな。せっかく友人と肩を並べて勉強するんだから
 苦手分野やって、苦手克服に尽力を尽くせよ」

グリーンって本当に真面目よね、と口を尖らせて。

何故か不服そうに―――頬を膨らませるブルー。

モゴモゴと口を開かずに動かして、「普通男女いたら勉強とかしない」だの
「空気読めてない変態イガグリ」だの言っていた。

どういう意味だ、と俺も売られ言葉に買い言葉で言い返そうとしたとき。


「ありました!すみません、時間かかっちゃって」

「いや別に、いい」

数1の教科書を胸に抱いて椅子に腰かけるイエロー。


「……勉強、するか」

誰も反論しなかった。
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