企画

□豆まきバトル!
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「鬼はアア、外オオオオオ!!
 福はアア、内いイイイイ!!!」

「何してんだレッド」

「あ、グリーン!何って……見て分かんないか?」

全身の力を使って力一杯、手のひらに掴めるだけ掴んで投げては叫ぶ、という行為を
繰り返していたレッドにグリーンはあきれつつも声をかける。

ストッパーの役目ができるのは自分しかいないことを自覚しているからだ。


「節分だからなっ、豆まきだよっ!」

「俺の一般常識から考えると“豆まき”はそんな全力でやるものではなかったはずなんだが」

「は?全力でやらなきゃ鬼は外に出てってくれないだろ!」

言われてみればそうかもしれないが、いかんせん、レッドも運動ができないわけではないせいか、
豆が壁に食い込みそうな勢いなのだ。

それがレッドの家ならまだ良い。

友人としてあんまりな気もするが、良いとしよう。


「レッド、考えても見てくれ。お前はカントー最後のジムに挑戦しに来たとして、
 そのジムの外壁に豆が食い込んでいたらどう思う」

「吹き出す」

「即答か、淀み無いな……なら全力で投げるのは止めてくれ。
 それでも豆まきを続けたいなら自分の家でしてくれ」

「だって俺んち誰もいないし……」

「暗い話にさせたなすまん」

「グリーン、なら棒読みチックなのをどうにかしてよ」

えい、と全力ではないもののグリーンに豆を投げるレッド。


「それにブルーとイエローも呼んじゃったし」

「ジムに呼ぶなよ」

「えー、だっていっつも俺の家じゃん、みんなが帰ったあとの静寂が精神にくるんだよ!」

「それはすまなかったな!」

節分だからなんだというのだ。

ジムは毎週月曜日が定休で祭日も休み、それ以外は年中無休である。


「さ、グリーンも豆まきしようぜ!ていうか寒いから中に入れて」

「ジムは休みじゃないんだ、いくら友人の頼みでもそれはできない」

「ケチ!そんなだからイガグリとかツンツンとかスケベとか
 ムッツリとかボンジュールとかって言われるんだよ!」

「誰にも面と向かって言われたこと無いぞそんな悪口」

バーカバーカ!と分かりやすく憤慨するレッドに、どうしたものか……とため息がこぼれる。


「仕方ない、豆まきで勝負しろグリーン!!」

「何故そうなる」

「グリーンが頑固で言うこと聞いてくれないから!」

「……頑固なのはお前の方だろ」

ポケモンバトルという選択肢は無いのか。

だだっ子のようなことを言うレッドに、またため息がでそうになった。
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