企画

□没ネタ
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※若干病んでるっぽいのでご注意下さい


「はあ……」

後輩が事前に準備してくれた出し物(?)を見ながら笑っていたと思ったら、
イエローが不意にため息をついた。

どうかしたのか、と慌てて隣に座るイエローの顔を覗き込むと、彼女の瞳は
暗く黒くよどみ、悲しそうに色あせていた。


「レッドさん?」

覗き込んだまま、なぜそんなにも悲しい顔をしているのだろう、と
視線をズラせないでいると、やはり気にさわったのだろうか、小さく声を漏らす。


「ボクの顔に、何かしらついていますか?」

「そうじゃないんだけど……な、イエロー」

「なんですか?」

ふわり、と見る者を温かく包むかのように晴れやかに自然に。

あんなに暗い顔をしていたのが嘘のように、イエローは笑った。

だけど、だからこそオレはお前のことを気にしてしまう。

ふわふわしていて、―――掴み所が、無いような気がして。

イエローの方がどこかに行ってしまうような、気がするから。

そんなことを考えるオレはやっぱり女々しくて、情けない。

……こんなんだから、か?

こんなオレだからイエローはオレを信用してくれな―――――


「レッドさん、聞いてますか?」

「あ……わ、るい」

レッドさんたら、と楽しそうに笑う端々に、悲しみが合間見える。

どうしてだろう。

どうしてイエローは、どこかしら楽しそうに振る舞いながら、悲し気なのだろう。


「言いかけたきり黙ってしまうなんて、気になります。言ってください」

いつになく強気に言ってみせる彼女の本心は、一体どこにあるのだろうか。


「えっとだな……」

少し迷って。


「誕生日おめでとう、イエロー」

どこにも行かないでくれ、なんて言えるはずもなかった。



***



幸せで、嬉しくて。

楽しくて笑っていられるけれど、何かの拍子に肩から離れた、レッドさんの手。


「あ………」

けらけらと楽しそうに笑う彼、近くて遠い。

遠いに決まっている。

彼は何度も悪や世界の異変に立ち向かった、英雄なのだから。

ボクが隣にいられる現状こそ、どうしてこうなったのか不思議なくらいのはずで。

あなたがどこかに行くことを、止める権利もないけれど。

離れた手に帰ってきてほしくて。

離れたくなくて、目を伏せた。


「はあ……」

改めて息をつくと、自分の考えに打ちのめされるようで。

レッドさんは、ボクの好意に気付いているのだろうか?

レッドさんはどう思っているのだろう。


「レッドさん?」

目の前に悲し気なレッドさんの顔があった。

キレイな顔してるよなあ……じゃなくて、びっくりした。


「ボクの顔に、何かしらついていますか?」

「そうじゃないんだけど……な、イエロー」

「なんですか?」

我ながら気持ち悪いけれど。

ああ、あの英雄であるような最強な、ボクなんかが及びもしないレッドさんが、
自分一人を見て悲しそうに、気遣ってくれているのだと思うと。

とても満ち足りて、嬉しくて。


つい笑ってしまう。

引かれてしまうかな、なんて思いつつも、笑わずにはいられない。

彼の目に写るのは、今だけはボク一人。

これほど幸せなことって、無いでしょう?

レッドさんは悲しそうに、ボクにおめでとうと言って笑った。












誕生日に病ませるとか私何考えてるの!

ということで没になりました。

ごめんイエロー……
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