企画

□チョコ・ビュッフェ
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※学パロです



すごくムカつく場面に遭遇してしまった。

理由?そんなん知らないわ。

ただアイツが無表情でいるだけなのに、きゃいきゃい騒いでチョコを渡す行列が。

目障りな、だけよ。


「機嫌、悪そうだな」

はあ、と眉を意識的に思いっきりしかめながらため息をつくと、レッドに声をかけられる。


「当たり前じゃない、どうして女子が男子にチョコを渡す日なんてあるのかしらね。
 男子が渡しなさいよ、不公平じゃないの。バーカ」

「んな理不尽な」

軽く笑われる。

別に義務じゃないから怒るのは確かに理不尽だろう。

でも、やっぱり不公平に思えるわ。


「私だって男子なら、相当モテたと思うのよ」

「どこからくるんだその自信は……」

まあでも想像できなくもないけど、と苦笑するレッド。

何を想像したのよ。


「逆チョコって言うらしいよな」

「は?」

「いや、男子から女子にチョコ渡すことをさ」

言うわね、と少し戻った会話に驚きつつもあいづちをうつ。


「俺、実は今日逆チョコしてみたんだぜ」

「急なノリね」

いやノリとかじゃなくマジで、とレッドは言い直す。

こほん、と必要のない咳払いをして場を仕切り直して。


「イエローに今朝、チョコ渡して告白したんだ」

「あら、ヘタレッドとして有名なレッドにしてはやるじゃない」

「ヘタレッドって何だよ!?」

本人は否定するが結構有名よね、ヘタレッド、って。

にしても意外だ。

レッドがイエローに告白?


「どうだったのよ、ちゃんと返事、聞いたわけ?」

「あー、聞いたよそりゃ」

「トイレに駆け込んだ?」

「それはどういう意味だ」

まあ駆け込んだけど、と答えるレッド。

フラれるはずないとは思っていたものの、こうもあっさりしていると拍子抜けする。

つまんないな、あの“もだもだレッド”でもう、からかえないわけか。

最後のもだもだを楽しむとしよう。


「何て言って、何て言われたのよ」

「はあ!?内緒に決まってんじゃんそんなの!」

純情乙女のようなセリフを吐きながらわめくもののなだめさせると、
案の定、ちょっと聞いてほしかったみたいで自分から話し出す。


「俺から、チョコ渡して……」

「うんうん」

「すっ、す……好きだ、って言って……」

「うんうん」

「イエローに、はい、って言われた」

「……うん?」

はい、ってそれじゃあレッドの『好きです』って言葉を理解しました、って
意味でしかない感じだ。

いや、このもだもだ2人ならその『はい』に『私もあなたのことが好きです』と
いう言葉が含まれているんだろうけど!


「レッド、他にはイエロー、何か言ってた?」

「HAHA、トイレにダッシュしたせいで聞いてないぜ?」

……こんのヘタレッドが!!




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