企画

□エイプリルフールのいたずら
2ページ/3ページ




「えっと、あの、その」

「きょ、今日はどうしたんだ?」

ドアをあけたら麦わら帽子の男の子、イエローがいた。

マジか、何だ今日はどうしたんだ。


「あげてあげればいいじゃない、さ、イエローあがってあがって!」

「ちょ、オイ!ブルー……」

背後から、いつの間にいたのだろうか。

ヌッと音もなく現れたブルーは勝手知ったる他人の家、
自宅かのようにイエローを招き入れた。

どういうつもりなんだよ、と睨んでも笑ってかわすブルーに半ば自暴自棄になる。

俺の家に何でこんなにアポなしで人が集まってるんだよ。

お茶いれてくる、ととりあえずその場を離れた。


「ブルーさん、どうしてボクを呼んだんですか?」

いなくなった隙を見計らうかのように切り出すイエロー。

実は女の子なのにレッドにはバレていないという悲劇的な状況に立たされているイエローは
好きな人を前にしてどうしていいかも分からない。

呼ばれてのこのこ来たものの、レッドさんの家だったなんて!と驚きを隠せていない。

さっきからオドオドしっぱなしである。

レッドが気付いていないからいいものの、当然のように気付いているブルーは
はあ、と息をついた。


「今日こそエイプリルフールに便乗して、告白しなさいよ」

「こくはっ……!?」

真っ赤になるイエローに、ブルーは満足気にうなずく。

無理無理無理です!ボク男の子だと思われてますし!引かれますよ確実に!

小声ながらに激しくうったえるイエロー。

心なしか涙目になっている気がする。


「そうね、じゃあまず性別の勘違いを訂正しなさいな」

「急に無理ですよ……」

「エイプリルフールじゃないの、いざとなったら誤魔化せるわ」

「誤魔化せませんよ!事実を否定する気ですか!?」

「じゃあイエローは、このままレッドに男だと思われたままでいいの?」

ゔ。

痛いところを突かれ、反論が止まる。

確かにイエローだって、女の子だ。

男の子だと勘違いされたままなんて、しかも恋する相手に勘違いされてるなんて。

いやに決まってます、でも男の子だと思ってるからレッドさんもこの距離感でいてくれて。

ギャラドスの背中に乗せてもらえたときに言われたあの台詞。

ボクが女の子だって知ってたら、冗談でもあんなこと言わなかったでしょう。

もんもんと考え込むイエローに、ブルーは黒い笑みをこぼす。


「そんなに悩まなくていいわよ」

麦わら帽子越しに頭を撫でた。


「私から言うから」




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ