創作
□情動リンク
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そう後悔してもまあ、他人が責めてくるわけでもないのだけれど。
ズルのような気がするけど、そう折り合いをつける。
期待されていたわけでもないのだから、気に病むことなんてないはずだ。
それでも『もっと速く』と思ってしまったのはきっと、まあ一種の気の迷いだろう。
この場の雰囲気に呑まれた。
きっとそうに、違いない。
スポーツが特にできるというわけでもなく、
何かとりえがあるというわけでもなく。
いいじゃないか、このままでも自分は変わらない。
英雄的なことはできず、ただやるべきことをするだけ。
これまでと変わらない。
変われない。
変わりたくなんて、ない。
無感情で無感動に、ただただやりすごせばそれでよかったんだ。
立ち上がって木影からでると、太陽がまぶしかった。
歓声の中に紛れ込むように戻る。
風はもう、吹いていなかった。
→あとがき