創作
□渡せず仕舞い
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「無難に××ちゃん、とか。話したこと無いわけじゃないし、それでいいんじゃね?」
「う、うん……」
じゃあさ、と口を開く幼馴染み。
探求心を、一体何が刺激したのだろうか。
「渡せなかったら、一緒に食べてくれない?」
「このチョコを、か?」
うん、と気まずそうにうなずく幼馴染み。
家に持ってかえって食べりゃいーじゃんか。
そんな俺の考えを読み取ったのか、幼馴染みは額にしわをよせて弁解した。
「ごめん、それじゃユウくんに悪いよね。
……でも、お母さんにバレたら、心配するだろうし」
私はいじめられてるわけじゃないから。
だから、心配させたくないの。
幼馴染みの言葉には珍しく、決意がこもっているようで。
「そんな後ろ向きに考えるなよ、まずは渡すことを考えようぜ?」
うん、ありがとう。
幼馴染みの笑顔は、幼稚園に入ったばかりの時に浮かべていた笑顔と、何ら変わらなかった。
「…………」
下校時。
重苦しい沈黙。
手に持つ紙袋を覗きこむと、たくさんのチョコがのこっている。
これは失敗したようだ、とどうしたものかと思案する。
幼馴染みが暗いと、俺が何かしでかしたと思われるのだ……何でも俺に押し付けるなっつーの!
「渡せたのか?」
「……クラスメイトに、2つ。あと、担任の先生にもあげたよ」
「そうか、3つも渡したのか」
お前のことだから、1つも渡せないかと思ったけど。
やるじゃん。
「……そうかな?」
不安げに揺れる幼馴染みの瞳。
元気付けたいから、俺も言葉を続ける。
沈黙がお前に後ろめたさを付属させる前に。
俺がポジティブに変えてやる。
「一緒に食おうぜ、いいだろ?」
「うん、たくさん、食べて?」
ありがとう、と言ってクッキーをもらう。
「……苦いや」
苦いのが苦手な彼女は、瞳を濡らしながら笑う。
彼女と俺は、同じ味覚感覚を有しているけれど。
「……美味いな」
友でも義理でもないけれど、チョコを食らう。
彼女のチョコは、美味しかった。
渡せず仕舞い
(俺は嬉しいけど、お前は嬉しくないんだよな)
意味不明!知ってるよ!
またなんだかよくわからないものを書いて……しま、った……!
しかも創作。
マジで何で書いたんだろ。
自分を嘲笑う、というコンセプトだったのに片想い文っぽくなった。
何故だ。