創作

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『初めの一歩』と言うと、何故か『だるまさんが転んだ』を連想してしまう。

私が下らないことを考えているとは知らないだろう3人と1番道路へ。

私たちは『冒険への第一歩』を踏み出した。



 演説拒否

   〜side・touko〜



さっさと行ってしまうベルとチェレン。

2人は意外かもしれないけれど似た者同士で、かなりのマイペースだから。

困ったように息をついて、面倒くさそうにゆっくりと後を歩くのはトウヤだ。

自分の双子の兄ながら、本当に兄なのかと疑いたくなる。

もう少しでいいから、ポジティブにアクティブになってくれないものかしら。

「日焼けしたら皮がめくれてメンドイ」から、という意味不明だけどトウヤらしい理由で
今日も今日とて春でも暑いくらいなのに長袖のパーカーを着ている。

どこの女子よ、見てるこっちが暑苦しい。

そんなことを思いながら草むらを駆ける。

ふと、視線を感じた―――――背後から。


「? 何よ、トウヤ」


「……今、僕のことバカにしなかった?」


バカにした、とは少し違うけれどトウヤのことを考えていたのは事実。

ドキっとした。

前にチェレンが言った言を思い出す。


『君たち双子は、本当によく似ているよね。前に本で読んだことがあるんだけど、
 双子のどちらかが怪我をしたら、もう一方に痛みが伝わったり。
 怒りや悲しみの感情が伝わったり、することがあるみたいなんだ。
 前にトウコが怪我をしたとき、僕とトウヤは部屋で本を読んでいたのに、トウヤはひざを擦りむいて泣いたんだ』


あの時は、そんな魔法みたいなことあるのかしら、と冗談半分に聞き流した覚えがある。

だけども自分も、トウヤの感覚だろうことを、経験したこともあるから、チェレンは正しいのだろう。

ここ最近だけど。

それが頻発している、気がした。


「バカになんてしてないわよ、暑苦しいなあと思っただけ」


「それを、バカにしてると言う」


「言わないでしょ、勝手に結論付けないで!
 ……もう、ベルもチェレンも見えなくなっちゃったよ、早く行こう?」


「………トウコのが」


意地でもバカにしてきたのだと言い張るような気がしてきて話題を反らすと、
かすかな反論のような言葉が、トウヤの口から飛び出した。

面倒なことはできるだけしない、という現代っ子特有かもしれないポリシーをかかげるトウヤが
反論するのは珍しい。

私は言い負かす自信があるし、トウヤもそれを分かっているから。

だからびっくりして、掴んだ手を離した。

何だか突っ返された感じになる。

お前なんか必要ないと、言われたような。


「トウコのが寒そうだし」


ムッとしたように言って、それでも行こう?と私を促して。

私を追い抜いて行ってしまうトウヤの背中を見て。

何だかんだ言いながら、頼られたいと願うのは何故なのだろうか。

こんな感覚は伝わってほしくないな、と思ってから、
自分が自分にあるまじきシリアス&ネガティブをしていることに気付いた。

私はポジティブで明るくてアクティブでうるさいくらいの、トウコなんだから。


「ほら、急いで急いで!」


追い付いて背を押しながら笑う。

頼りない兄に、頼られたいから。




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