創作

□拒絶方程式
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 !)自傷行為&グロい表現アリ。
 閲覧は自由ですがお気をつけ下さい。

























おなかがキリリと締め付けられたかのように、痛む。

苦しい、息もできないみたいで。

悪意と歓喜に飽和した室内には、酸素なんて無くなっていた。

私が据える場所なんて、私が吸える酸素なんて、最初から無いように。


「楽しくないよ、気づいてよ」

これだけ世界は広くて、これだけ人口は多いけれど。

私の世界は封鎖的に狭くて、閉鎖的に寒くて、過疎的に窮屈で。

同じようなことを繰り返す日々に、嫌気がさす。

嫌っておきながら、状況を変えることも変えられるようなことも何一つせず、
悲観的に物事を考える自分にも、嫌気がさす。

あいつが嫌い、そいつが嫌い、でも自分が一番大嫌い。

理解されない、とか。

誰も私を見てはくれない、とか。

現代社会においてなんとイレギュラーのない悩みだろう。

もはや模範解答といっても過言じゃないほどによくある、普通の悩みごと。

おなかがキリリと締め付けられたかのように、痛む。


「こんな自分もう、いなくなってしまえばいいのに」

首を少し動かせば、視線に入る窓枠。

あそこから飛び出せたら、どれだけ幸せだろうか。

私は幸せになれるのだろうか。

飛び出せたら、何が変わるだろうか。


「踏み出す勇気が、あればいいのに」

自分が窓枠に立つ場面を、想像することは難しくない。

だけれども、一歩が踏み出せない。

未練も後悔も何もないはず、なのに。

おなかがキリリと締め付けられたかのように、痛む。


「ああそうか、簡単なことじゃないか」

どうして今まで気づかなかったのだろう。

私の、桁の低い点数しかとれない頭脳は、日常生活を送る以外のイレギュラーに対してはなかなか回らない。

仕方ないか、まあ、どっちにしろ結論に辿り着いたのだから何も言うまい。


「これなら、空に、地に散るよりも、決断なんて小さいものだ」

周りの騒音はもう、気にならない。

元より自分の行動は気にされていない。

ならもう、いいじゃないか。

世界に散っても、いいじゃないか。


「さしずめ、格好つけるなら、“開演”とでも言うべきか」

口角が上がる。

シャーペンを手にし、大分奥まで引いた椅子に、座ったまま。







「…………ふ、はははははははははははははっ!」




振り上げた腕を、足に、ももに突き刺した。


グサ。グサ。グサ。

刺さったシャーペンがじくじくした傷口をえぐっていく。

狂気じみた私の行為に、周りの人間も気づきはじめたのだろう、教室が静まり返る。

だけど、この場に私に声を掛けるほど善意ある人間はいないから。

見守られながら、私は右腕を振っては降ろし、振っては降ろしを繰り返す。

繰り返すことに意味も理由も希望も、未来もなく。

そして終わりも、もちろん無かった。


「ははははははははっ………………バカみたいだ」

ほら、こんなにも私に視線は集まっていて。

アイドル以上に、釘付けにしてるじゃないか。

誰も望んでいない現状に涙が出そうになる。

いや、違うかな、これは痛みからくる涙なのかな。

わからないままに、骨がみえてもなお、肉を突き刺す。

広げた傷はスカートからチラ見せ。

このまま死ねたら、幸せなの?


「誰か、教えてよ」

肝心な時には何も言ってくれない現代人に、あきれながらも
シャーペンからカッターナイフに持ちかえる。

もう終わりにするから、だから。

私に友達ができなかった理由、誰か、教えてよ。

私に非があったのは知ってるけど、言ってくれなきゃ分からないよ。

分からないから―――辛いから、辛いなら、散りたいよ。

死にたいよ?


「サヨナラだ」

温かな赤い鮮血が足をつたい、醜い水溜まりをつくる。

黒く染まりつつある表面に映る自分は、ひどく無気力でひどく無表情だった。

ぱしゃん。

戯れに上靴越しに蹴って、一気にカッターナイフで首皮を掻っ切った。

ぶしゃあ、と情けない音をたてて吹き出す赤は、よどんでいてとてもキレイとはいえたもんじゃない。

楽しい学校生活、送りたかったんだけどな。

血に染まる真っ白な制服をぼんやりと視界に入れながら、今更ながらに思うと、雫が膨らんで足元の水溜まりに波紋をたてる。

おなかはまだ、キリリと締め付けられたかのように、痛んでいた。





 拒絶方程式



 (連立さえすれば、解けるような問題なんですか?)



















ただの突発文でした。
あんまグロくないつもりですが、友人にも「お前病みすぎ」と言われた限り、相当マズイようです。

読み返してもグロいか分からないあたり、私は病んでいるのかもしれない……

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