episode 2
□感情論
2ページ/5ページ
「あ、ありがとうございます、マサキさん…、あら、あなたは…?」
ナナミという女性が、ライトに向けて何やら視線を送ってきたので、
「はじめまして。ここの地区のチャンピオンやってます、ライトって言います。」
と言ったら、
「まあ!あなたが!? 話はよく聞いてたわ。」
なんて言葉を返されたので、
それをさらに
「え」
と言い返す。
「改めて言うわね。私はナナミ。オーキド・ナナミよ。」
「…、オー、キド…?」
「えぇ。グリーン…弟がいつもお世話になってたみたいで。」
「え、あ…、ははは…」
グリーンのお姉さん…か。
あいつこんな美人なお姉さんがいたのか知らんかった、なんて思っていたその時。
ブブ、と、ファックスが動いた。
「! ファクスは生きてたのか…」
ペラ、と送られてきた紙に目を通す。
”ずっとラジオ聞いてます。いてもたってもいられません。”
”今すぐ会場に行ってジムリーダー達を助けたいです!”
送られてくる紙に書かれた、トレーナ達の願い。
3枚目の紙に目を通した時、思わずマサキを呼んだ。
”ポケモン転送システムが使えなくて残念でたまりません。もし使えたら、僕のありったけのポケモンを送るのに。”
「…。」
マサキは息を呑んだ。
この男はポケモンの通信関係を担っているプロだ。
「…なぁライト、コントロールルームのシステムは?」
ふとそんなことを聞いてきたので、思わず苦笑いをしてしまった。