episode 2
□感情論
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――――。
「くそっ、もう時間がねえぞ…!」
ジムリーダー達の乗った前車両は、更に加速を続けていた。
もう本当に時間がない。
(ライトのやつ…、何やってやがる…!)
あいつが言い切ったのだ。
素直に信じていたいが、思えばあいつは機械に強いのだろうか?
不安が募るばかりだ。
「このペースでいくと、…あと1分もしないうちに行き止まりに突っ込むぞ…!?」
誰かがそんなことを呟いた、その時だった。
キィ、とブレーキ音が響き始めたと思ったら、グリーンのポケナビが鳴り響く。
「もしも…」
『今リニアの停止を押した!車体が急激に揺れるから気をつけろ!』
言い切る前に聞こえたライトの叫び声と同時、車体が勢いよく揺れた。
「うわっ!」
バランスを崩すジムリーダー達。
と、ガガッと何やら嫌な音も同時に響いてくる。
「まさか…!?」
グリーンは慌てて窓から車線を見た。突然の急ブレーキで、脱線寸前なのだ。
「くっ…!」
苦し紛れに前方を見る。
壁はもうすぐそこだ。
だが、それと、もうひとつ。
1人の少年が見えた。
彼がボールを投げれば、出てきたのはカビゴン。そのカビゴンは線路から外れかけたリニアを受け止め、制止に加担。強い衝撃とともに、リニアが止まった。
止まったとほぼ同意、グリーンは一目散にリニアから降りると、
「レッド!」
カビゴンの主である名前を叫んだ。
「体は治ったのか!?」
「あぁ。遅れてゴメン。」
『おーい、グリーン!聞こえてるか?』
感動の再会の中、状況の読めないライトの一言。
「あ、あぁすまん、聞こえてる。リニアも無事止まった。」
『…良かった。じゃ、俺はこれでお役御免だぜ。じゃあな。』
「あ、コラ待」
ぷつ、と切れた通信。
「? グリーン、今のは?」
「ライトだ。」
「!」
「リーグもやっぱすっぽかそうとしてたのを俺が無理矢理連れてきた。でリニアの遠隔操作を頼んでた。リーグ会場もひどいことになってる。」
「ライトもリーグ会場に…?よし、会場に急ごう!」