episode 2
□所有者としての
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「…図鑑が今手元にないから何だというんだ!お前は勝手に”所有者”で無くなった気でいるようだが、俺たちは違う!」
「ッ、!」
「この3年、レッドは傷を治療しながら。ブルーも修行をしながら。そして俺もジムを経営しながら、ずっとお前を探し続けた!皆、お前が帰ってくるのを待っていたんだ!!」
彼が怒鳴るなどという行為は、珍しかった。
「…そうだぜ、ライト。」
それに続けた赤い目も、更に言う。
「…お前がブルーに図鑑を渡したことを咎めてる奴なんて誰もいない。だから…、帰ってきて、くれねえか…?」
「…、」
思わず、息を呑んだ。
「今、俺たち3人を除いた5人の図鑑所有者達は、もうそれぞれウバメの森で戦ってる。行こうぜ?チャンピオン様よぉ。」
赤い目は、
ふざけたように、でも真剣に。
それに続けるように、手を差し伸べてきた緑の目。
「…、」
(良いのか?)
思考が、行動を止める。
(俺が、この手をとって。あの場所へ帰って。あの場所で…、戦って。)
いずれ、3年前に使ってしまった”あの力”を求めた戦いに、巻き込むかもしれない。
彼らが、俺の正体を知ったら、どうするだろうか?
色んなものが、こみ上げてきた。
だが。
「…迷惑、かけてすまなかった。急ごう。」
力強く、グリーンの手を、とった。