episode 1
□方向音痴は直らない
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---。結局、ライトがゼニガメ、グリーンがヒトカゲ、レッドがフシギバナを選択した。
「じゃあ…図鑑を渡そうかの。」
オーキドは、一人ずつ何かを伝えながら、図鑑を渡していく。ライトが最後だ。
「…君は…女の子、で良いんじゃよな…?」
「!」
グリーンとレッドに聞かれないように配慮してくれたのか、小声で言うオーキド。
「…えぇ。」
ライトもまた、小声で答えた。
「確かに俺は女です。…でも、女として生きるる道は、捨てたつもりですから。」
あまりにも、真っ直ぐな言葉だった。
「…本来なら、俺はこの図鑑をもらえる人間じゃなかったはずです。なぜ俺に?」
「…」
オーキドは、雰囲気の変わりすぎたライトを見て少し間をおいてから、そっと言った。
「マサラにも、おぬしらと同い年の女の子がいたんじゃ。でも、彼女は行方不明でな。」
「なるほど。」
ライトは改めて図鑑を持ち直すと、にっこりと笑って言う。
「でも、折角頂いたのなら、ちゃんと仕事はしますよ。」
確かに、言いきった。
「おーい、ライト!何やってんだよー、早く行こうぜ!」
遠くから聞こえる、レッドの声。
「…頼むぞ。」
「はい!」
ライトも、レッドたちの後を追う。とても、嬉しそうな顔で。
「ふっ、良い旅になりそうじゃのお。」
オーキドは彼らが見えなくなるまで、そっと見守り続けたという。