episode 1
□衝突
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「出るぅ?」
ニビを出てから2週間。おつきみやまを超えハナダジムのジム戦を済まし、シオンタウンに向かっていたところ、突然の雨に見舞われ、とある老人の家に厄介になっていた。
「この町は…昔からしんだポケモンの霊が集まる場所と言われている。」
言いながら、その老人…フジ老人は、お茶を持ってきてくれた。
「そんなポケモンの霊を慰めるために建てられたのが…ホレ、あのポケモンタワーじゃ。」
チラ、と外へ視線を投げるフジ老人の後を追えば、確かに古い塔が見えた。
「…つまり、あの塔、ポケモンの墓なんですか?」
「そうじゃ。」
割とあっさり答えられた。
「…あ、言い忘れてましたね。俺はライトと言います。」
「おぉ、よろしく。」
「…で、話戻しますけど。」
ズズ、ともらったお茶をすすりながら、ライトは話を進める。
「さっき、フジ老人の家の外にポケモンの墓がありましたよね。なんであそこに墓を立てないんです?」
「…ライト君といったかの。」
「えぇ」
今度はフジ老人が茶をすすった。
「…わしだけじゃあない。もう誰もあのタワーに近づこうとする者はおらん。」
「…あぁ、なるほど。『出る』ってわけですか。」
ライトは少し鼻で笑いながら言ったが、フジ老人のしょげぶりを見て気を取り直す。
「まぁ…信じるか信じないかは君の自由だがね。」
ふと、フジ老人の手元を見れば、写真があった。
「…それ、死んじゃったポケモンの…?」
「そうじゃよ。…できれば、あんなところではなく、きちんとしたお墓で眠らせてやりたいものじゃが…」
ズイ、と写真をこちらに寄越したので、ライトもそれを見る。写真は一枚や二枚ではなかった。カサ、と何枚目かの写真をめくると、
「っ、グリーン!?」
まさかの人物を発見した。
「その子を…知っとるのかね!?」
「え、あ、まぁ…ライバル…みたいな。」
「そうか…。この子はドードーが死ぬ直前、この町にやってきてのう。」
「へぇ…で、グリーンはどこへ?」
何の気もなく聞いたつもりだったが、フジ老人は困ったように首をかしげた。
「…あのタワーを調べてくると言ってもう2週間も帰ってこん。」
(…タワーの状況を知っときながら、止めなかったのか…?)
フジ老人の言葉に少し怒りを覚えたが、あくまでも冷静に。
「お茶、ごちそうさまでした。」
「おや、まだ雨が降ってるよ。」
「いえ。俺ももう行くので。」
そう言って、ライトはフジ老人の家を出た。
グリーンのポケモントレーナーとしての実力は本物。そう簡単にやられるやつじゃない。
…目の前にそびえたつポケモンタワー。
「…暴いてやろうじゃねーか。ユーレイの正体をよ!」