episode 1
□騙し合い
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---。「追え、逃がすな!」
…やっぱりロケット団って馬鹿なのか…?
思わずそう思ったライト。まんまとメタモンミュウに遊ばれている。
と、隣でブルーがごそごそと何やら機械を取り出した。
「何それ。」
「アタシが作ったスコープ♡」
「へえー、お手製!」
少し好奇心が湧いた。ライトはこう見えて機械に詳しい。
「エスパー系のポケモンはサイコキネシスとかの念力波を使う時に独特な波長を出すの。波の形はポケモンによって違うのよ。」
そう言って、ブルーはそれを装着した。
「OK、東南の方向に反応ありよ!ロケット団のやつらを出し抜いちゃいましょ♡」
向かうのは風の通る草原だ。
「…なぁ、ブルーは何のためにミュウを捜してんだ?」
「そりゃあ決まってるじゃない、お金よ!」
「…。」
あまりに即答されたので、一瞬キョトンとしてしまった。
「うまく捕まえられればきっと高く売れるわ♡」
「あ、そぉ…」
…正直、呆れた。ミュウは、カントーで発見された『151番目』という珍種だ。世界中のブリーダー達が欲しがっているという噂は聞いていたが、まさかこんな子供まで。
「あ!いたわ!」
ブルーの声につられて空を見上げた。
「おぉ…本物…」
「プリン、うたう!」
さっそく捕獲に入るブルー。その様子を横から見ていたら、手伝ってよ!と背中を叩かれたので仕方なくボールを手に取った。
「見つけたぞ!よくも騙してくれたな小娘!」
「「!」」
そこに、ロケット団も登場。
「チッ、思ってたよりも早かったな。」
ライトは言いながらボールを投げた。
「ブルー、ミュウ連れて早く行け!」
「え!?」
「あいつら、ミュウを使って怪物を作るつもりなんだ!はやく!」
「う、うん!」
ブルーは急いで走りだした。
「させるか!ルージュラ、サイコウェーブ!」
「こっちのセリフだぜ!ウィンディ、かえんほうしゃ!」
ゴォッ!と、互いの技が激しく ぶつかりあって爆発する。
「つづけて、しんそく!」
その中でのライトの先制攻撃。見事にルージュラをKOした。
ふぅ、と一段落してから、はっとブルーのことが気になって彼女を見れば、ミュウには逃げられてしまったようで肩を落としていた。
「…まぁ…ロケット団にとられなかっただけマシだろ?」
仕方がないから励ましてやろうと肩に手を置けば、なぜか彼女の肩は小刻みに震えている。
「うう…ウププププ…」
「え、おい、ブルー?」
「撮影大成功!高く売れるわよ、これ!!」
「…」
彼女が手にしていたのはカメラ。
「いつの間に…」
「さぁ、買い手を探しに行かなきゃ!じゃーねー!」
言うが早いか、プリンで飛んでいくブルー。
「…末恐ろしい女…」
ライトはその光景を見てわずかに笑うと、自分の道へと歩を進めたのだった。