AnOther

□第2話
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「そんな格好で廊下を走るなって何回言えばわかるわけ?」


殆ど全裸で廊下を走っていた男子の腕を掴み、回し投げる。もちろん相手が痛くないようきちんと受身が取れるように。

「女子が怯えるようなことしないでって再三お願いしてるよね。そんな格好で走るなんて言語道断。だいたい廊下は歩いて。」
「は…はい…ごめんなさい…」
「…怪我はない?打ち身とかにならないように投げたから大丈夫だと思うけど。」
「だ、大丈夫…」


ここは星華高校。
元男子校で、共学になってから数年。
未だ生徒の8割は男である。


「…飛び入り歓迎野球拳大会……却下。」
「「「なんでだよ!!!」」」
「星華の学園祭と言えばこれだろ!」
「そんな伝統は知らない…」
「きょ、去年コレやって盛り上がってたじゃねえか!」
「お前らだけな。」
「それでいいじゃねえか!学園祭は俺たちが楽しむもんだろ!」
「…」


秋といえば学園祭。
星華も例に漏れず、これを開催するわけで。


「…今年の学園祭のテーマは"新生星華高校"。世間に貼られている星華の悪レッテルイメージを払拭するためのものだよ。」
「じゃあ女性モデル撮影会!」
「…お願いだから人の話を聞いて。」


会長が全部俺らの意見却下するからだろ!という声を横に、すっかり怯えてしまっている女子に話を聞く。


「何がやりたいの?」
「き、喫茶店、とか…?」
「…2-2は喫茶店で。」
「んな?!理不尽だろ!!」
「理不尽って言ったって…決まってないのは2組だけ。期限もとっくに過ぎてるよ。待ってるこっちの身にもなってくれると大変ありがたいんだけど?」
「ぐ…、 こ、こんな時は…!」
「「「碓氷さん!!!」」」


「え……」


…居たのか、碓氷拓海。
他の男子がいすぎて存在に気付かなかった。


「俺…別にどっちもやりたくない。」
「…あ、そうなんだ。」


碓氷拓海の一言で、2組の男子は続々と退散していった。諦め、早くないか…。


「…なんか、いいのかな。今度は女子が勝手に決めてるみたいで…。」
「…男子がいい企画を考えてきたらそれも融合させる形にしよう。とりあえず、喫茶店は仮決定って事にしとくから。」
「…! ありがとう、桜鈴ちゃん!」


できるならちゃんと男子と協力して楽しい学園祭にしたいもんね、と生徒会室を後にしていく女子を見送った。


「…楽しい学園祭、か…。」
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