Bouquet Of A Freesia
□VSシュタイン
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ツギハギ研究所。
デスシティのはずれにある小さな研究所。シド先生をゾンビにした張本人の博士がいる処。
「ここにシュタインがいるんだな!」
「研究所もツギハギかよ…。」
「シュタイン博士ってどんなやつなんだろ?」
「あ、なんか来る。」
「え?」
三日月の一言と同時に、研究所の玄関と思わしき扉が開く。ガラガラも何かがスライドしながら近づいて来るような音が響く。
「ぎゃふん!!」
「…………。」
頭から後ろ向きに転んだその人は、どうやら椅子に座って移動してきたらしい。ポンポンと汚れた白衣を叩きながら、頭のネジを回す姿には殆ど私達など入っていない。
「クソ、まだ調子悪いな…。」
じぃ〜こ、じぃ〜こと頭を貫通しているネジを回しながらボソボソ喋る彼こそ、シュタイン博士。
「OK! もう一回やらせてくれ!」
何が気に食わなかったのか、椅子を片手にもう一度玄関に向かって行った。
「お、おい、誰か止めろよ。」
「いや、初対面だし…。」
「俺はちょっぴり気になる。」
「私も…」
「(あいつ、やばいな。)」
「(三日月の顔が真面目ってことは…)」
「ふんぎゃ!…で、何か用ですか?」
結局2度目も失敗し、今度はなかったことにしたのか、シュタイン博士は私達に視線を向ける。
「お前がシュタインだな。魂を貰いに来た。」
「あ〜、はいそうですか。君達、死武専の生徒さんですね。」
「…モンド。変身。」
「え?」
「早く。」
三日月の只ならぬ気を感じ取ってか、それ以上反論はしないモンド。シュタインはその様子を見ながらも、マカやソウルに視線を移した。
「君達の魂の波長は随分安定してないね。」
「?」
「真面目で頑張り屋さんと捻くれ者で皮肉屋の魂。共鳴してるようでしていない。」
「…やっぱりね。」
『?』
早くもモンドを構えながら呟く三日月は、ゆっくりモンドに波長を送る。
「はっははは君はスゴイなァ♪ 物凄く自己主張の激しい魂ですね。君のような魂に合う武器はなかなかいないんじゃない?」
「ぐっ!」
「ブラック☆スター!」
「あぁ成程、君が彼のパートナーだね。協調性が高く人を受け入れる器が大きい。彼の魂の波長に合わせてあげているのか。」
「観察はその辺で如何です?」
「!」
椿の魂を見ている間に、シュタインの背後を取った三日月は、既に槌を振り上げている。この距離なら確実に入る。
「溜3」
ズシンという轟音と共に舞う砂埃。
手応えはあった。
「…あぁ、君はこの間三ツ星になった…三日月さんですね。」
「!」
そのはずだが、シュタインは無傷で三日月の真横に立っていた。代わりと言っては難だが彼の座っていた椅子はスプラッタ状態。瞬く間に我を取り戻し、槌を横に振るが手応えはない。
「へぇ、めんどくさがりでマイペース。しかも人を殆ど信用しないタイプだ。それに…強い狂気を持っているね。」
「貴方こそ。そんな捻くれた成りをしておきながら実は観察、対応に優れる…柔軟性が高い魂なんですねえ。人を見た目で判断しちゃいけないっていうのはこういう事か。」
「比べて君の武器は面白い波長をしてる。相性だけは良いようだ。」
鼻をちらつくタバコの匂い。
シュタインは口角を上げた。
「さ〜て、ある程度データも取れた。実験を始めましょうか。」