華嵐
□夕焼け空
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「おいクリス!」
廊下で私を呼び止める声に、くるりと背後を振り返る。
「あらゴールド、おはよう。なんか用?」
さりげない笑顔で、今日も一日の始まりである挨拶をつげた
「今日お前なんか予定ある?」
「ううん、特にないけど。」
「じゃあ、今日帰り学活終わったら教室で待っててくれ。」
「え、何で?」
「いいから!帰っちまったらお前んちまでいくからな!!」
そういい残して、ゴールドは足早に自分のクラスへと戻っていった。
ゴールドったら。
どうしていつも急に予定を言ってくるのかしら。
なんだかんだ、
授業中もゴールドのことで頭がいっぱいで、
今日何があるのだろうか、と
すごく楽しみにしていたのだ。
なのに。
なのに。
ゴールドはいつまでたっても私のいる教室には来なかった。
「……。」
時計を見れば、
もうすぐ針は5時を指そうとしていた。
完全下校時刻だ。
…
ゴールドが待っててくれっていったのに。
私はゆっくりと席を立つ。
帰ろうかな。
そう思って、教室の扉を開くと。
「わっ!?」
一つの影が私の前に立っている。
「ご、ゴールド!」
唐突すぎて、ありきたりな言葉しか出なかった。
「あなたねぇ…人を待たせておいてなにして…」
「ニョたろう、さいみんじゅつ♪」
ゴールドは得意げに笑う。
「えっ?ちょ、ゴーる…ど…」
私の意識は、待ち人の目の前で途絶えた。