episode 2
□図鑑所有者
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「あ、あの…?」
2つに結んだ髪がおかしな方向に跳ねている少女に声をかけられて、ハッと我に帰った。
「え、あ…わりい…。」
彼らの持っている図鑑。
ということは、彼らの前に出ているポケモン達は、
(…博士からもらった…、御三家、か…。)
目に見えるマグマラシ、ベイリーフ、そしてアリゲイツの影が、
いつかの光景と重なった…ような気がした。
「えと…、貴方は…?」
いきなりカイリューなんて大型のドラゴンポケモンで登場したのだ。驚くのも無理はなかっただろう。
「あ…、俺はライト。この状況、どうなってる?」
とりあえず、
"逃げろ"というのはやめた。
図鑑所有者なら、何があっても大丈夫だろうと踏んだからだ。
「見ての通りっすよにーちゃん!ルギアが暴れてるんで俺らで止めようっつーところ。あ、俺はゴールドっす。」
「…シルバーだ。」
「ク、クリスタルです。」
(…言うなれば…"後輩"…か…)
ふとそんな事を思いながら、
3人の顔を一通り見て、もう一度ルギアを見た。
「…分かった。手伝おう。」
「「「‼」」」
静かにライトがそう言えば、3人は目を丸くする。
「…あの攻撃、おそらく"エアロブラスト"だ。…会って間もねえ奴を信用なんざ出来ねーだろうが、状況的に1人でも多いほうがいいだろ?」
そう言って、ライトは再びカイリューにまたがった。
「俺がルギアの攻撃を弾くから、お前らは隙を見てルギアを捕獲。…出来るな?」
「え…、で、でも…、」
渋るクリスタルを横目に見ながら、ライトは空へと飛んで行く。
「…大丈夫。お前らなら出来るさ。」
意味深に、そんな事を呟きながら。