Bouquet Of A Lily bell
□たまには武器を置いて?
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「だから嫌だって言ったんだわ。」
「うるせえ、俺だって別に嫌だよ。」
タンバルンという国は、アメリカから空を飛び、海を渡って更に陸地の奥深くにある国。
ここに来るまでに軽く2週間かかった。というか死神様ももっと早くにあの依頼書を見せてくれたらよかったのに。
あの日に見てすぐ出かけていなければ、時間的にアウトだったぞ。
「ところでお前、ヴァイオリニストとしていくんだから、今回ちゃんと正装持って来たんだろうな?」
「…まあ、一応。」
「ほー、そりゃ上等だ。」
港から馬車に揺られ、シェナザード城の近くにある宿場についた。
遠い、遠すぎる。凝りに凝った身体をせっかくほぐせるというのに、すぐに肩身の狭いドレスを着なければならないなんて。
考えただけでも寒気がする。
「時間もギリギリだ。さっさと着替えて向かうとするか。」
「はーやだやだ。ろくに指も動かせないまま行くのか。」
「エスコートしますよ、三日月嬢。」
「ご遠慮させていただきます。伯爵子息のモンドどの。」
互いに気持ちが悪いという顔をして、馬車から荷を下ろす。
空高くに伸びる城をみながら、今夜は長い夜になりそうだとため息をついた。