神と化け物と神童と。
□☆序☆
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◆
あれから、15分後。
無事に楢鹿高等学校に到着した少女“鴉闇 琥珀”は、スケボーを片手にグラウンドを彷徨っていた。
琥珀「何とか間に合った…」
安堵の溜息をつきながら、目の前に建つ校舎を見上げる。
ーそして琥珀は驚きの声をあげた。
琥珀「…わぉ。」
目の前に建つ建物はとても独創的な外観だった。他には無いような…本当に斬新なデザインの校舎。
ーーええと…本当にこう……噂通りの変わった学校なんだね?
…まぁ、そこまで変なデザインじゃなくて少し安心したけど…。
でも…やっぱ今まで普通の学校に通ってたから、違和感半端ないわ。
そんな事を考えながら暫く校舎に見入っていると、後ろからポンッと肩を叩かれた。
琥珀「!」
突然の事で思わず体が硬直する。
一瞬政府員かとも思い構えたが…どうも後ろから感じられる気配からは奴等のような嫌な視線は感じない。
それを確認すると、琥珀は再び安堵の溜息をついた。警戒心を解きながら、ゆっくりと振り返る。
「琥珀!」
そこには…懐かしき友人の姿があった。幼馴染である“六道 黄葉”だ。
琥珀「あっ…え?黄葉?」
少し戸惑いながら尋ねる。
すると黄葉はそんな彼女にニコリと笑いかけた。それを見て琥珀はまたホッとする。
どうやら本人で間違いないようだ。
ーーそっか。
そういや黄葉も“空の島”が見えてたんだっけ。小学生の時に話した事だったからすっかり忘れてた。
…あ、そういえば中学の時も黄葉以外に空の島が見える子居たな。
あの子は今年ココに入学してきたんだろうか?そうだったら面白いな。
少しワクワクしながらそう考えた、次の瞬間。
「あ!琥珀!?」
再び自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
だが今度はその声に聞き覚えがあった。琥珀はある確信の元、ゆっくりと視線を黄葉から校門の方へ移す。
ーそこには、此方に向かって走ってくる一人の女生徒…“比良坂 アイラ”の姿があった。
琥珀はそんなアイラを見ると、嬉しそうに手を振った。
…そう。彼女こそ、琥珀がたった今考えていた“空の島が見える子”なのだ。
琥珀「アイラ…!」
アイラ「っは…琥珀も同じ学校だったんだね…!」
息を切らしながらアイラが言う。
その顔は笑顔に満ち溢れていた。
アイラ「私、知ってる人が全然居なくて少し不安だったんだ。良かった…琥珀が居てくれて。…にしても…六道くんも琥珀のお友達だったんだね。」
琥珀「あはは…まぁ、僕、何回か引っ越しましたからね。」
そして始まる三人の思い出話。
だが、そんな三人の時間を引き裂くようにチャイムが鳴った。
それを聞いて、三人の顔は真っ青に変わる。
黄葉「あわわわわっ…!始業式に遅れちゃう…!!」
琥珀「体育館は…あそこですね。」
アイラ「とりあえず急ごう!!」
そうして琥珀達は入学式の行われる体育館へと急いだのだった。