神と化け物と神童と。

□☆晴☆
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次の日。
琥珀は久々に教室に来た。

既に2時間目に入っていたが、琥珀はそれを全く気にしていないようだ。
琥珀は無言でズカズカと自分の席まで向かう。
勿論生徒達はざわめいた。
それを見て今回授業の担当だった十 貞九郎が少し控えめに琥珀に言う。
十「あのぉ…鴉闇さん?オイラ、流石に堂々と遅刻ってのはどうかと思うんですが…」
琥珀「僕の事はお気になさらずに。…気まぐれですので。」

(自分で言うか!)
誰もが心の中でそう突っ込んだ。

だが琥珀はそんな彼等の視線など全く気にしていないようだ。
ただボーッと空を眺めている。そんな彼女を見て十は深く溜息をついた。
これ以上言っても無駄だと判断したのであろう。
十「…じゃあ気にせず進めます。」
十は授業を再開させた。

琥珀はそんな十の声を聞きながら、空を眺めていた。
琥珀「…」
ーー空…晴れてるな。
清々しい程の快晴だ。
そんな空を見て琥珀はふとある人物の事を思い出した。
ーーそうだ…遊びに行こう!
あの子に会いに行ってみよう!
そうと決まれば即行動だ!!

ガタッと立ち上がる琥珀。
再び集まる視線。
十「…今度は一体…って、何で出て行こうとしてるんですか!?」
琥珀「すみません、飽きました。」
笑顔で言う琥珀。
それを見ながら一部の生徒がハラハラしている事に琥珀は全く気付いていない。
黄葉(琥珀!?ちょっ自由すぎるよ!)
アイラ(お願いだから琥珀!普通に授業受けて…!!)
だが一方でそんな琥珀を冷静に見守る生徒もいた。
日向(授業態度…相変わらずだな。)
袴田(俺もサボろっかな…)
加藤(鴉闇さんか。変わった人だな。)

糾未(琥珀可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いこっち見て琥珀!!可愛い!!)
中には異常な程の愛を送る者もいたが…これは例外だ。

琥珀はそんな中戯けた口調で言う。
琥珀「なので出掛けてきます。」
十「は?」
琥珀「じゃ!」
何処からかスケボーを取り出すと、琥珀は手をヒラヒラと振りながら教室から出て行った。

後ろで何やら十先生の僕を呼び止める声が聞こえたが、気にせずそのまま“5組”へと向かった。

ガラガラと音を立てながらスケボーで5組まで向かう。
ーー授業妨害なんのかなコレ。
うるさいよね?この音。
…まぁ…いっか。

そう思い暫く廊下をスケボーで走っていると、途中である生徒と出くわした。
「!君は…」
相手は見た事もない生徒だった。
男のわりには少し伸びた黒い髪に、綺麗な顔立ち。僕は彼の事は知らないが…彼の方はそうでもないようだ。僕はスケボーから飛び降りる。
琥珀「…あなたは?」
そう問い掛けると青年はにこりと爽やかに笑った。
「俺は4組の朝長 出。…えっと…君は鴉闇くん…だっけ?」
琥珀「えぇ、そうですが…どうして僕の名前を?」
朝長「噂で聞いたんだ。…君強いんだって?確か昨日、開かずの間から出てきたって聞いたけど。」
朝長の言葉に、琥珀は心の中で溜息をついた。…その事には出来れば触れないでほしかったのだ。
何せ彼女には“それに関する記憶が一切ない”のだから。
だが琥珀はニコリと笑い返した。
琥珀「…別に強くありませんよ。アレは単に敵が弱かったというだけですし。」
朝長「へぇ…そうなんだ。」

この時、朝長が密かに黒い笑みを浮かべていたのを琥珀は知らない。

ーーそういえば4組って…異様に団結力が高いって噂の組だったよなぁ。
そうボンヤリと考え込んでいると朝長がニコニコと笑いながら言った。
朝長「ねぇ…鴉闇くん。」
琥珀「はい?」
朝長「今度4組に遊びに来なよ。」

予想していなかった誘い。
琥珀は一瞬返答に戸惑ったが…直ぐに笑顔を作り、応えた。
琥珀「そうですね。…ですか其方は迷惑ではないでしょうか?」
朝長「全然。君なら大歓迎だよ。」
琥珀「…左様ですか。」
じゃあ空いた時にでも行かせていただきます、と言うと朝長は嬉しそうに微笑んだ。
琥珀も思わず微笑むが、自分が何をしていたかを思い出すと琥珀は急いでスケボーに片足を乗せて言った。
琥珀「そういえば僕用事あるんでした。すみませんが…これで失礼しますね。」
朝長「…うん、またね。」
笑顔で言う朝長を見て、琥珀も笑ってスケボーに乗った。
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