神と化け物と神童と。

□☆決意☆
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次の日の早朝。
加藤よりも早く起きていた琥珀は、洗面所で髪をとかしていた。
琥珀「…」
赤いクシで髪をとくと、琥珀は己の髪の毛を見つめながら呟いた。
琥珀「…大分伸びたな…」
そろそろ切ろうか、なんて考える。
ーー今の僕は男装している訳だし…髪の毛は長いよりも短い方が好都合だよなぁ…。…今度切るかな。
ヘアゴムをポケットから取り出し、普段と同じように髪を結ぶ。キチンと結べた事を確認すると、琥珀は満足そうに頷いた。
琥珀「…よし。」

部屋に戻ると、琥珀は自分の寝ていた布団をせっせと綺麗にまとめた。
その途中ふとお腹が鳴る。
琥珀「おぅ…?」
お腹を抑えると琥珀は不思議そうに首を傾げた。
ーーご飯…食べてなかったっけ?
…あ…そっか。
丸一日何も食べてないんだ。
…そうだった。
僕ずっと眠ってたんだったっけ。

…うーん…。
食堂は今準備中だしなぁ…。
…売店は…空いてるかな?
……空いてるとは思えないけど…。
まぁでも一応行ってみるか。

そう決め、寝ている加藤を起こさないようにと忍び足で玄関へ向かう。
がちゃっ。
ドアを開けて外に出ると琥珀は売店に向かって歩き出した。

ーーあれ…。
そういや僕普通に部屋から出てきたけど…。…これって4組の人達にバレたら危なくね?

今更ながらそう思ったが足は歩みを止めなかった。…それ程お腹が減っていたのだ。
琥珀はそんな自分に気付くと自嘲気味に笑った。
ーーまぁ…僕も生きてるからね。
仕方ないっていうか…ねぇ?


暫く歩いていると…突然後ろから声をかけられた。

「居た居た。」
その男の声を聞いて琥珀は背筋を強張らせる。
…声の主を知っていたが為だ。
ーーこの声は間違いない…。
恐る恐る振り返ってみる。
…そこには。

「…探してたんだよ?琥珀くん。」
ニヤリと笑う“朝長”の姿があった。
琥珀「っ…」
がたがたっ!
朝長の姿を見て震え出す琥珀。
朝長はそんな琥珀を見て、愉快そうに笑った。
朝長「あは、そんなに怖がらないでよ。…別に殺そうと思って君を探してた訳じゃないんだから。」
そう言う彼に小さな声で問う。
琥珀「…じゃあ……何で僕を探してたんですか?」
朝長「んー少し手伝ってもらいたい事が出来てね。」
琥珀「…手伝い?」
朝長「っそ。」
不気味に笑う朝長。
すると朝長は…琥珀に残酷とも言える“提案”を口にした。

朝長「…琥珀くんさ…今から“六道 黄葉”って子を殺してきてくれないかな?」
琥珀は言葉を失った。
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