神と化け物と神童と。

□☆水☆
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あれから僕は部屋に戻り、薬を飲んで安静にしていた。

…筈だったのだが。


「あれ…何!?」

…何故か蝕が来てしまい(しかも見た事ないヤツ)僕は呆然とグラウンドに立ち尽くしています。

…いや…本当分かんない。
何この状況。
つかあの空の波紋は何なの?
…とりあえずさ…僕病人だしね?
あんまり戦いたくないってのが本心なんですよね。

…あーもう!嫌だよおおおお!
さっさとココぶっ潰してこんな世界からオサラバしたいよぉおお!!

…え?
格好悪い上にキャラ崩壊がしてる?
そんなん知るかクソッタレ。
こちとら熱が38.5分あんだぞゴラ。
キャラとか保ってる暇ねぇんだよ。
…まぁ…格好悪かったって点は……一応謝っとくけど。


琥珀が暫し立ち尽くしていると突然空から槍のようなモノが降ってきた。
琥珀「え」
思わず反射的にそれを避ける。

ズドッ!!
するとソレは勢い良く琥珀の直ぐ側の地面に突き刺さった。

カチカチカチ…。

それを見て琥珀の顔が一気に真っ青へと変わっていく。
ーーえ…は…何あれ。
こっち見てるんだけど…??
琥珀は落ちてきたソレを凝視する。
…ソレは断ち切り鋏のような形をしていた。カチカチと顎を鳴らしている事からして…恐らくその自慢の刃で人を断ち切るのだろう。
じゃらっ…と側に刺さっていたソレが地面から抜ける。ソレの矛先はしっかりと琥珀を向いていた。
琥珀「あ」
ヤバイ、そう言いかけた時だった。

ざっ…!!
地面から抜けたソレを含め、多くの断ち切り鋏達(いや名前知らんし)が一斉に僕に襲いかかる。
琥珀「わぁああ!?」
僕は…全力で逃げた。

カチカチカチ!
異様な量の鋏に追い回される琥珀。
だがそれは仕方のない事であった。
琥珀「ちょっ来ないで!!勘のいい人に気付かれる!!」

“文字”は“文字”に反応する。
逆に言えば“文字達は文字を持つ者にしか反応しない”。
…そう。
琥珀が異様な量の鋏に追われているのは…琥珀が“それだけの文字”を持っているという事なのである。

琥珀「来るなぁああ!!(泣)」
琥珀は走りながら叫ぶ。
だが文字達が待ってくれる筈も無く…文字達は容赦無く琥珀に襲いかかった。
じゃら!!!
一斉に襲いかかる文字。
琥珀「わっ…!!」
琥珀は思わず目を閉じた。
…その時だった。

カッ!!
辺りが眩い光に包まれた。

蝕が終わったのだ。

琥珀「は…終わった……?」
琥珀は目を開けるとヘナヘナとその場に座り込んだ。
ーーあ…危なかったぁ…。
蝕が終わってなかったら僕…危うく変以外の文字を出す所だったよ…。
いやぁ…うん。
とりあえず夏までの目標は“変以外の文字は誰にも見せない”だからね…。
…けど…今、一つだけ気になる事があるんだよね。

琥珀は溜息をつくと空を仰ぎ見た。

ーー今の蝕…。
“水”っぽかったんだよな。
…いや…でも……まさかね。
僕達の代で来るか?
…出来れば来ないで欲しいが…。
琥珀「…どう…なるかな…」
僕は1人大きな不安を抱えていた。

…だが次の日。
それが的中してしまう事となる。



【本日の蝕】

生徒総数:80名
死亡者数:5名

生存者数:75名
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