first love













「…っや、………ちょ、ちょっと待って、」



何もかも抑えられなくなって、押し倒して首筋を噛んだら、チチはそう言って体を引き剥がそうとする。



「無理」



待てねー、って。
抵抗するチチの言葉なんか簡単に無視して、服に手滑りこませて胸に触れたら、華奢な体がビクッて強張った。



と同時に、自分の心臓はあり得ないくらいにドクンて波打って。



どうしていいか、なんて何の知識も持ってねーけど、本能みたいなもんなんか?

自分の意思よりも、先走っていく体が理性を壊していく。



躊躇も戸惑いもないこの手は、何か得体の知れないもんに導かれてる気さえした。



身にまとってる服が行く手を邪魔してるのがもどかしくて堪らない。
破り捨てるようにそれを剥がして、チチの全てをさらけ出した。


初めて素っ裸にして見た女はあまりにも綺麗で。
思わず生唾を呑んだ。



恥ずかしい、と言ってシーツを纏おうとする。



「隠すなよ」

「だ、だって、こんないきなり、」



見る間に紅く染まった顔を手で覆って、あんまり見ないで…って声を震わす。



ああ、もう可愛すぎて、頭がおかしくなりそうで。



「やべー、限界」



邪魔なその手をどかして、上から嫌ってほど瞳を覗き込んだら、これでもかってくらい頬を真っ赤にして、揺れる瞳がこっちを見た。
瞬間、完全にイッちまった。



唇ん中に舌押し入れて、深く深く、窒息寸前までキスをして、持て余した手でさっきより露わになって触れやすくなった胸を包む。



「もっ、……や、っあ」



包み込んだそれは、まるですり抜けていきそうなほど柔らかくて、気が遠くなりそうになって………。
その瞬間の耳に響いた聞いたことない甘すぎるチチの声に、一気に欲望を駆り立たてられた。



どこに触れても、柔らかくて、あったけー。



女の体ってのはこんなに気持ちいいもんなんか、って。
余裕なんかないくせに、思考回路が上手く回ってない頭でそんなことを思った。



そこはダメ!、なんて拒まれても、止めることなんか出来るはずがなくて。



駄目だと言われれば言われるほどに頭も身体も熱くなって、怖いくらいに欲情してしまう。



ダメだと拒否するその場所に触れたら、甘い声がより一層高くなって、まるでか弱い悲鳴のようにも聞こえた。



もう色んなもんがはちきれそうで、早く全てを開放させてしまいたくて仕方なかった。



溶けてしまいそうなほどに甘い甘いその声で名前を呼ばれた瞬間、何かが音をたててぶっ壊れて。



チチの中に入っていった。



痛い、と苦痛に歪む顔を両手で包み込んで、嫌か?、と聞いたら、チチは涙目で真っ直ぐに見つめてきて首を横に小さくふった。



「……大丈夫だべ、………止めないで…。」



そう言って優しく微笑んだチチを見たのが最後。
躊躇なく突き上げた瞬間に意識がぶっ飛びそうになった。





───────ねぇ、あんた死ぬの怖くないの?



いつだったかブルマにそんなことを聞かれたことがあった。



───────そんなもん怖くねーよ。



強いやつと闘って死ねるなら本望だとさえ思ってた自分は、なんの迷いもなく笑ってそう答えた。



じいちゃんが死んじまって、それから一人で生きてきた自分にとって、この世界に未練なんて何一つなかった。



だから、死ぬことに恐怖を感じるなんてこともなかった。





なのに、今はもう、こんなにも───。





「………っ、や………あ、悟空、さ…」




鳴いて泣いて揺れるチチの見たことない艶っぽい顔と、淫らに響いた喘ぐ声に自分自身が簡単に崩されていった。



完全にぶっ飛ぶ直前に、チチが言った。



幸せ、って。





初めて、この世に未練というものがあることを知った。



初めて、死ぬのが怖いと。
死ぬのが惜しいと思った。





(もう、離れられねーよ)





初めて。
人を愛する怖さを知った。











end.






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