妖怪の宮
□第肆話
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「此処でいいんですか?若菜様」
「そこそこ〜。 助かるわ〜」
鈴華は夕食の手伝いをしていた。
先ほど若菜と話して今妖たちが出払っていて人手が足りないと聞いて鈴華が手伝うと言い出したのだ。
「料理はとても久しぶりなんですよ。」
「あら〜そうなの? 楽しい?」
「はい、とても。」
久々に包丁を持った鈴華は慣れた感じに大根を切り始めた。
「あら〜うまいわね〜」
「ありがとうございます。親族たちが宴会好きなのでいつも作らされていて…」
少し照れたように言う鈴華。
それを若菜は笑顔で見つめる。
「あら〜うちみたいなのね〜。 ことあるごとに宴会、宴会って言ってるのよ〜」
「それは大変じゃありませんか? 奴良組は組員も貸元も多いですし…」
「多いから大変だけど、その分賑やかで楽しいわよ〜」
「そ、そうなんですか…」
若菜の返答に苦笑いをこぼしつつ、鈴華は包丁を動かした。