トランプの世界

□七話
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「いやー今日の王女様の集会の殺人予告はビックリだねー」

「そうだな・・・」


俺の反応を見てケラケラと笑う。
医務室担当のセシード。俺のこの騎士団の中の唯一の親友だ。


「に、しても君は本当に好かれてるねー。」

「そうだなー。」

「もしかしたら王女様・・・君のこと好きなんじゃないの?
 アイラブユーだね。愛だね!!」

「そりゃねーだろ。」


そう言って俺は苦笑いした。
そうだ。それはない。

俺はただ気に入られているだけだ。
おもちゃとして。


「そう・・・おもちゃとして。」


そう思うと俺は少し心細かった。
そんな俺に気を使ってかセシードは俺の頭がガシガシと撫でまわす。


「い、いたっ!?」

「そー落ち込むなってー!
 俺がいるだろー!!」

「ちょ、やめろって!
 はーげーるー!!」

「はっはっは!
 禿げてしまえ、このイケメンめ。」

「っ!!????」


そんな他愛ない会話がとても楽しかった。
こんな日がずっと続けばいいのに……。













「アル!!」

「っ!?セシード!
 い、いきなり何だよ…」


セシードが慌てて俺の部屋に入ってきた。
それに驚く。


「お前…外でたか!?」

「い、いや今日は・・・」

「いいか、絶対出るな!
 今日は出るなよ!!」

「え・・・でも・・・」


そう言ってる間にセシードは姿を消していた。
何が何だか。

そんなことを思いながら俺はカーテンを開けて外を見た。

そこにいたのは





「おや・・・じ・・・・・?」


血まみれの死んでいるだろう親父と
返り血であろう血まみれで血のついたクナイを持っている姫だった。

ぞっとした。
逃げなきゃ・・・そう思った。

しかし俺の体は動かなかった。


このままだと俺死ぬ、どうしよう。


そう思って震えていた時だった。


ドカッ


「え・・・?」


誰かに蹴られた。
後ろを見るとセシードがいた。

眼を丸くして下を見ると魔方陣が描かれていた。

コイツの得意な物は医療関係と魔術。
そして一番の得意魔術は―――瞬間移動だった。


「なっ、待てセシード!
 こんなことしたらお前…」


「殺される」そう言おうとするとセシードはニッと笑った。


「生きて、また会おうな。」


そう言った。
俺の姿が消える前に俺は見た。


ドアの前に姫がたっていたのを。


そこで俺は意識を手放した。
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