目で追う物語

□二話
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カノside


「いやー本当に久しぶりだねミカゲ!
 会えて本当にうれしいよ!」

「へいへい、ありがとさん。」


相変わらず髪は短くて、どこか隠しているような笑顔を浮かべる。
まるで僕の能力を奪っているみたいだ。


「で、今回の任務って何なの?」

「・・・・・アタシ向けのモノだよ。」


そう言うとミカゲは周りを見渡す。
人通りが多い。
それがもう一つのミカゲの能力に最適なのだ。

徐々にミカゲは男性へと姿を変える。
その姿は先程横を通り過ぎたサラリーマンらしき男だった。


「ほんと・・・僕の血も流れてるんじゃないの?」

「まっさか。」


そう言って笑った。
相変わらず・・・綺麗に笑う。

ミカゲのもう一つの能力は"目を移す"能力だ。
少し僕の能力に似ている。


「さて…では行きましょうか鹿野くん?」

「・・・気色悪・・・いだっ!」


正直な気持ちを伝えたら脇腹を殴られた。
本当にキドそっくり。


















どうやら今回の任務は醜いものだ。
アタシのいつもやっていたことじゃない。色ごとでも、盗みでもない。

ただただ魂が消えるとこを見るだけだ。


「貴方が私を呼んだんですか?」


アタシは男の姿をしたまま営業スマイルで
「はい、忙しい所すみません」という。
相手も「いえいえ」と返した。


「ところで、今日は何の用でしょうか?
 貴方にあったことは一度もありませんが。」

「そうですね、私にもありません。」

「・・・では?」


あぁ、本当に嫌だなあ・・・。
なんで僕こんな面倒な能力持ち歩いちゃってるんだろう・・・。


「貴方を殺しに来ました。」


「おとぉーさん」幼い声が男の耳に入ったであろう。
聴きなれた可愛らしい声が。

そして目に入ったであろう。
可愛らしい自分の娘がナイフを持って自分をさす所を。
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