トランプの世界

□十話
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「アル先輩!
 今日一緒に夕食でもどうですか?」

「そういうのは女の子にいってやれよ。
 モテるんだろ、お前。」


苦笑いして言う先輩。
俺はただ「へへっ」と笑うだけだった。

そんな風に仲良くなった後・・・俺に悲劇が起きた。

急な集会。
王女の隣にはレイさんただ一人。

なんで?
なんで先輩がいないの??


「昨日アル・レフォードは・・・
 このハートの国を裏切った。」


王女の言葉にみながざわつく。
そんな馬鹿な・・・


「後はレイに任せるわ。
 お願い。」

「はっ、クイーン様。」


そう言って王女は姿を消した。
俺もばれないようにその場から去る。

嘘だと願いたかった。
王女に・・・王女に聞かないとそう思った。


「王女!」

「!・・・貴方は・・・アラフォードだったかしら・・・?」

「はい。」


王女は俺を見ると壊れそうな顔で笑う。


「アル、居なくなっちゃったわ・・・
 貴方はアルのこととても気に入ってたわよね・・・他の人とは違って。
 そんな貴方にアルは助けられていたのよ…。」

「そう、なんですか?」


ぐっと瞼が熱くなる。
俺はあの人の力になれていたんだと。

それともう一つ怒りを覚えた。
あの人が大切な人を裏切ったこと。


「もう、ここには・・・いないの…
 アルは・・・かえってこない」


今にも泣き出しそうな声。
俺は肩にそっと手を置いた。


俺の信頼も全てを潰されたということに恨みを持った。
















「アンタは・・・俺の何もかもを潰されたんだよ…
 それに恨みを持たない奴がいるとでも思うのか!!」

「っ!!」


大剣の連続攻撃がやけに重かった。
連続の攻撃にクナイが一つ弾かれる。


「うぐっ!」


大剣を左手に持ち、すぐさま短剣をアルの心臓目掛けて刺そうとしたが
アルがそれに気付き、すぐさま避ける。

それに舌打ちをした。


「貴方は何人泣かせたら気が済むんだ!!
 何人裏切れば気が済む!!?」

「違う・・・違うんだよ、アラフォード!!」

「言い訳を・・・するなっ!!」


クナイがアルに振り下ろされた。
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