トランプの世界

□十二話
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「クーイン」


カツンと音を立てて男がクイーンの部屋に入ってくる。
静かにクイーンは男を見た。


「何かしら、レイ。
 ノックもしないで入ってくるなんて無礼よ。」

「申し訳ございません。」


そう言いつつ、クイーンの肩を抱くレイ。
クイーンは眉間にしわを寄せた。


「どうやらセシードが裏切り、アリスと接触くしたようです。
 共にアラフォードもいたようですが…。」

「!アラフォードも…?」

「はい。」


周りに誰もいないことを確認し、レイは小さな声で呟く。



「大事な情報がこれ以上外に漏れては困ります。
 この際…セシードを処刑しましょう。」

「・・・・・アラフォードは?」

「彼は牢にでも閉じ込めておけば大丈夫でしょう。
 セシードよりは安全ですよ。」

「・・・・・そう。」


窓から外を見つめながらクイーンは呟く。


「考えておくわ。
 さがりなさい。」

「はい、クイーン様。」


そう言うとレイは部屋を出て行った。
窓に身体を任せて座り込む。


「・・・・・アリス…か。」


コツンと窓に頭をぶつけそっと城壁を見た。




「・・・・・いつになったらいじめられるのかしらねえ。」


そう小さく呟き、笑った。

もちろん、この時まだクイーンは知らない。
場内でアリスと自分の兵たちが戦っていたことを。
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