目で追う物語

□五話
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「あの人のこと何も知らない癖に・・・
 アタシが大事にしてる人のこと悪く言うんじゃねえよ!!」


腹が立った。
アタシも何かを聞いた訳じゃない、でも、見えた。
だから辛かった。

そんなことを知らない奴が外見だけでシンタローを悪く言うことが
アタシには許せなかった。

同級生がアタシを殴ろうとする。
身構えた。その時


「何やってんだよ。」


救いの声が聞こえた。
声の方を見るとそこにはシンタロー。

なんでいるの?
そんな顔をしてるだろうね。

隙ができた瞬間シンタローがアタシの腕を引っ張って体を起してくれた。
そしてそのまま走りだす。


「あ!?ふざけんなおま・・・」

「エネ!!一発かましてやれ!」


「了解です。」


エネちゃんの真剣な声のあとに
同級生の携帯はオーバーヒートしたらしい。


「きゃあ!」

「あっつ!?」

「アタシのスマホが!!」


そんな声を後ろにアタシ達は走り続けた。


「シンタローくん」

「・・・・・。」

「シンタローくん?」

「・・・。」

「シンタローくん!!」


そこでシンタローは足を止めた。
ずっと走ってたことで息が荒くなる。


「ごめ、んね・・・」

「?なんで。」

「飲み物・・・ぬるくなっちゃった。」


苦笑いして言うとシンタローは溜息をついた。


「別に良いよ。
 今日は帰るか?」

「・・・・・ううん、最後アレ乗りたい。」


そう言ってアタシが指差したのは―――








「それでは楽しんできてください!」


そう言って観覧車のドアは閉められた。
二人には静寂。


(密室に・・・二人っきり!!?)


シンタローはパニックになってた。


「あ、のね・・・アタシ、学校やめてるんだ。」


重たそうにミカゲは口を開いた。
きっと過去のことを俺に教えようとしてるんだとシンタローは悟る。


「うん。」

「・・・・・昔からいじめられていたの。
 これは・・・初期メカクシ団メンバーは知ってる・・・。」
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