目で追う物語

□八話
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「っ・・・!」


なんでこの人が・・・!


「前のテストまぁまぁ良かったぞー。」

「そ、そうですか・・・」


やだよ、はやく


「なんだ?嬉しくないのか??」

「そ、そんなことないですよ。
 あ、ありがとうございます・・・!」


そう言ってアタシは走る。

だめだ。
ケンジロー先生を見たら・・・もう・・・




『消えろよ、クズ』




「――っ!!」


ハァハァと呼吸を乱して前を見ればもうアジトの前だった。
ずっと・・・走ってたのか・・・。


「っ・・・」


顔を叩いて歩く。


「ただいまっ!」


そう言ってアタシはアジトに入った。
みんながアタシの顔を見る。


「ミカゲ!
 テスト・・・どうだった・・・?」

「良かった方だよ。」


にっこりと笑うとモモは安心したように笑う。


「じゃあアタシは部屋に戻って少し寝るから。
 ・・・・・またあとでね。」


アタシは部屋に戻る。

緊張が解けてその場で座り込む。
怖かった・・・

震える腕をアタシは必死に抑える。


「・・・はっ・・・ははは・・・」


一際強く腕を強く抱きしめる。


「誰か・・・助けてよ…!」



















「言うのが遅いんだ、お前は。」


声が聞こえたと思うと
アタシは後ろから誰かに抱きしめられていた。

横に長い緑の髪が揺れる。


「・・・・・キ、ド・・・?」


アタシがそう問いかけてもキドは何も答えなかった。
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