トランプの世界

□一話
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「ソフィア!」

「・・・・・ふあ?」


茶髪の少女が目をこすりながら前を見ると茶髪のゴーグルをつけた少年が
こちらを覗き込んでいた。


「やっと起きたか…
 魘されてたぞ?」

「ん・・・・・そっか。」


頭をぽりぽり掻きながら少女はふと木陰を見つめた。
そこにいたのは灰色の髪を持つ背の高い男性。

そして右目に傷を持った男だった。


「ガゼル・・・・・」

「よーぉ、不機嫌な顔してるなーガゼル!」

「…。」


急に黒い影から男が現れた。
黒い髪に黒い瞳、黒いコートを身にまとっている男性。


「やかましい、消えろナイトメア。」

「そんなこと言うなってー。
 そうだ、ソフィアー。」

「!あ、なに?」


ソフィアはその場に座りナイトメアを見つめた。


「そろそろ・・・・・時のようだ。」

「時・・・・・?」


そうナイトメアは言うとその場から姿を消した。
黒い影を残して。


「時・・・・・ってなんだ?」

「さぁ……私にもわからない。」


ー時……一体何の・・・・・?


心で考えながらソフィアは夢のことも考えていた。
























「クイーン様!!
 スペードの国から刺客が・・・・・」

「わかってるわ。
 現在の場所を教えて。兵を送り込む。」


そう言うとクイーンと呼ばれた少女は机に手をついた。


「・・・・・キングめ・・・・・!」


ハートの国は隣国、スペードの国との戦争中であった。
そして今そのスペードの国からの兵がハートの国のどこかにいるらしい。

言わば植民地の取り合いになっている。


「クイーン様、知らせが…」

「今度は何!!」


バッと眉間にしわを寄せながらクイーンは振り向いたが兵の持つ物を見て眼を丸くした。
そしてふと笑みを浮かべる。


「ジョーカーからの手紙・・・・・!」


そう言ってクイーンは手紙を受け取る。
綺麗に封を破り、手紙を読み始めた。

最初は笑顔だったのだが急にその笑みは消えた。

そして肩を震わせる。


「クイーン様・・・・・?」

「兵を…


 スペードの兵をハートの城に連れて来なさい!!」


そう怒鳴りつけた。
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