トランプの世界

□二話
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「どう・・・して?」


ソフィアの言葉にチラリとガゼルは見ると
すぐに遠くを見つめた。


「もしお前が王ならわざわざ調べるか。
 何百・・・何千人もいる国民の中から。」

「それは・・・」

「それに国では出かけてる最中に戦争で死ぬ可能性もある。
 それで死んだ奴の名前なんて・・・住民表から消えもしねえ。
 ずっと生きてるという証だけ残していく。

 でも、誰もそいつのことは覚えてねーんだ。」


「誰もな・・・」とガゼルが小さく呟く。
その言葉には暗い過去が顔を出していた。


「そう、だよね・・・なら大丈夫か。」


身の安全を感じソフィアはほっとした。
その顔を見てアルは俯く。


「顔を・・・知られてなかったら、ね。」


そう小さく呟くがソフィアには届いていなかった。
ただ近くにいたガゼルには聞こえておりガゼルも視線を落とす。


「さぁ、てと!」


スクッとナイトメアが立つとソフィアの方を見た。


「お前はどうする?」

「え・・・・・?」


ナイトメアの言葉にソフィアは首をかしげる。
そのキョトンとしたソフィアの顔を見てまたしゃがみ視線が合うようにした。


「これからはきっと刺客が来るだろう。

 そこには殺すという行為をしなければならないかもしれない。
 逆に自分が大怪我をして死ぬことになるかもしれない。

 そんな運命をお前は・・・受け入れれるか?」


ナイトメアの真剣な質問にソフィアは生唾をゴクンと飲み込んだ。
アルとガゼルはソフィアをじっと見ていた。


「アタシは・・・」


そう口にしソフィアは俯いた。


「認めない・・・・・」

「じゃあ「でも、そうじゃない!」・・・・・?」


ソフィアの言葉にナイトメアは首をかしげる。
ぐっと拳に力を入れ俯いたままソフィアは口にする。


「アタシは・・・殺すのやだし、死ぬのもヤダ。
 
 でも・・・ナイトメアみたいに影を自由に扱える訳でもない。
 アルみたいに小道具で人を殺す事も出来ない。
 ガゼルみたいに銃で人を殺せない。

 特殊能力をアタシは持っているわけでもない・・・


 でもね!!」


そこでソフィアは顔を上げた。


「アタシが認めないのは」


その時のソフィアは


「誰も殺さない・・・誰も死なない運命をアタシはつき通す!!」


誰にも負けないほどの
覚悟の灯火を瞳に宿していた。
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