トランプの世界

□七話
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そして次の日緊急集会が開かれた。

皆がなんだなんだとざわついている。
俺は相変わらずいやがらせされたままのブーツをはいていた。

実際このブーツをはいて姫のとこに行くとレイが鼻で笑った。
今までの事はこいつが悪玉かとその時わかった。

姫が騎士の前に立つ。
その瞬間全員が黙った。

俺も胸を張って姫の後ろに立っていた。


「今日皆に集まってもらったのは他でもない、今この騎士についてよ。」


そうはっきり言う。


「アル・レフォードが私の直属についているのは誰でも知っているわね?
 直球で言うわ。

 私のバカ犬をいじめてるのは誰?
 何の理由なのかしら??」


そう言うとざわついた。

え・・・どういうこと?
姫は・・・俺のために集会を開いてくれたの・・・・・?

そこで前に立ったのはレイだった。


「王女様!
 なぜこんな奴の肩を持つのです!?
 そんなことで集会を開かなくても・・・」

「お黙りなさい。
 貴方は黙って答えればいのよ。」

「っ!」


そう言うとレイは俯いて俺をその後睨んだ。
俺はそっぽを向く。

そこで一人の騎士が手を上げた。


「王女様。
 そ奴はもとは貧乏人で、しかも貴女をたぶらかして直属についたんですよ。
 騙されないでください、王女。」


そう一人の騎士が言うとみながそうだそうだと合唱を始める。
俺はたぶらかしてなんかいない。

しかし、その合唱も一瞬で消えた。

姫の放った手裏剣がその騎士の眉間に刺さった瞬間だ。


「そう・・・みなそう思っていたのね。」

「ひ、姫・・・・・?」


俺がそう呟くと聞こえていないのか
姫はそのまま前を見て皆を睨んでいた。

しかし、俺はその時見た。

姫の背中で灰色のオーラが具現化していたのを。

あれは・・・何?

そう思っている間に騎士全員にそのオーラが巻き付いた。
悲鳴が聞こえる。


「いい?アルは私をたぶらかしてなんかいないの?
 だからね、もしそんなことほざいてアルを傷つけるのなら・・・」


パチンッと指が鳴らされた。

その途端レイが首を両手で押さえて苦しみ出した。
全員が眼を丸くする。


「がっ・・・あ・・・ぐぅ・・・!」

「こんな風に苦しみながら貴方達を殺すわ。」


そう言った。

この時俺は知った。

姫は何か気に喰わないことがあったらそれを壊すと。

それを全て壊して何も無かった事にする人間だと初めて知った。

そして俺は恐怖を覚えた。
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